大学生の学力低下が叫ばれて久しい。
私が子供の頃はそんなことは言われていなかった。
昔より中学受験者数は増えた。
中学受験勉強する期間も塾の営業が効いてか一年から二年へ二年から三年、それ以上へと増えた。

 しかしながら大学は入りやすくなり、学力低下していると言われる。学力低下のエビデンスはいろいろ議論されているようだがはっきりはしない。でも上がっている感じはない。国際競争力としても、都市部の小学生が受験勉強するようになったので、日本の都市部出身の若者が他国より優秀になったということは聞かない。博士課程進学者が減ってるとか、海外留学者が減ってるとか聞く。米国理系大学院にしめる日本人の割合は減ってるという。

 なんで小学生が勉強するようになったのに大学以上のレベルが上がらないのか?

 中学受験勉強と大学受験勉強や、しいては博士課程や社会で必要とされる能力が異なるから、ということは考えられる。

 単一の試験力と多様な社会的適性とは違う。
 受験熱の熱い韓国シンガポールでノーベル賞が無いことは以前書いた。(過去記事2)
 
 でもそれだけじゃなくて、普通の人が陥りやすい認知バイアスがあるのだ。
(過去記事1)を書いて思った。

 中学受験の競争率が上がって合格率50%偏差値が上がると、合格の難易度が上がると思うだろう?
 それはそうなのだ。
 しかし、合格者のレベルが上がったとは言えないのだ。
 50%偏差値が上がるということは80%偏差値も上がっているだろう。だから、
難関中学校に確実に合格するのに必要な試験力は上がっているのだ。

 しかし、実際にその難関学校に入って卒業した生徒全体の試験力は上がってない
ということは普通にありえるのだ。

 受験産業は煽るわけだ。
 受験者数が増えている。受験率も増えている。合格倍率も上がってる。50%偏差値も上がってる。だから以前よりも勉強をやらないと受からないようになってるんです、と。
 さあ、塾へ金使ってください、と。

 実際には東京都では受験者数は微減だ。もうこれ以上増えない。受験率が上がっているということは、受験者のレベルは大衆化して下がっているということだ。
 合格倍率と50%偏差値が上がってるということは、確実に合格するための試験力が上がってることは言えても、実際の合格者の試験力が上がっていることは意味しない。下がっていることもありえる。
 この辺でハテナ?と思う人は(過去記事1)の後半を読んで認知バイアスを外してください。

 


(過去記事1)
(過去記事2)