(過去記事1)の最後で、
各学校の入試の合格ライン偏差値を発表している大手学習塾は、その計算方法を公開すべきで、してないなら不正を疑われると書いた。
 具体的には以下を書いた。

 

ロジスティック曲線を使っているなら使っていると言うべきで、言わないなら保護者らを馬鹿にしているか或いは言えない事情があるのかもしれない。例えば、受験生数が少ない学校は特別にエイヤで決めてて定義を公表できないという事情もあるかもしれない。(でもいちいち一個一個の学校を見てやってないと思うので一括した統計手法を使ってるとは思う)

 こういう計算法は公表すべきで、そうでなければ各学校から賄賂をもらうなど不正が疑われることにもなりかねないのでは無いでしょうか。

 

 
以下のサイトを見た。2023年11月の記事。
日能研か四谷大塚かサピックスか偏差値表を発表するようなどこか大手塾の室長として勤務したことがあって各学校の合格偏差値を決める会議に出た経験があるらしい。
 

 

 

 

 

 

・ある伝統校が最難関校というカテゴリから外れそうだったが、最難関校から外すと地元の人達からの猛反発が予測されたので偏差値60以上に据え置き、最難関校のままにした

・新興校の偏差値を高く設定する代わりに合格を出し易くしてもらっていた塾があった

・塾内の権力者が担当している学校だったから不当に偏差値が高い女子校があった。

・偏差値表の位置で便宜を図る代わりに、受験者の合否情報を公式発表より早い段階で塾側に流してもらっていた(さらに進学を確約することで不合格を合格にしてもらっていた)。

(抜粋。詳細は上のサイト見てください)

 やはり、恣意的な操作がなされているらしい。

 

 ロジスティック近似の数値だけだと受験生数が少な過ぎて極端に変な数字が出る学校も出てくるかもしれない。それを補正するために会議で議論しているのか。

 昨年までとかなり異常な値が出た時に、そのまま結果を公表するか、或いは昨年度までの偏差値との中間値をとるか、議論することもあるかもしれない。

 私なら、それも含めて昨年度までの数値と合わせて公表するのが誠実だと思うが、上のサイトのように会議で決める慣例があるなら、実際には今でも会議で主観的な補正がされているのだろう。

 そして、大手塾の関係者と学校の関係者に利害関係がある場合もある。駿台予備校の駿河台大学、駿台学園中高とか河合塾のドルトン中学とか。進学塾が作った小中高大は他にもある。私立学校の理事に塾関係者が入っていることもあるのだろうか。

 

 上では不当に高い偏差値とあるが不当にとはどの程度のことを言うのだろうか。偏差値52.49を52でなく53とするような程度の話ではないのだろう。

 

 大手塾が私立中学校たちの権力者になってしまっている。

 上で引用されていることが本当であれば、犯罪行為にもなると思う。学校法人が自己の利益のために民間業社に機密情報を流出している。

 それでも偏差値の計算方法を公表しないというのは、やはり不正が今でも行われていると考えるのが妥当だろう。

 これは政府の介入なしには問題解決しない。不正をしない中学は不正をする中学に生徒を取られる状態で、競争ルールに不備がある。不備を不備のままにしておくのは政府の怠慢と言える。

 

 

 (過去記事2)では公立中高一貫校入試に対策法は無いと書いた。私はこれはむしろ健全な状態だと思う。

 民間の学習塾業界に資金を投資できる富裕層だけしか公立学校に行けなくなるのは不当と考えるからだ。

 一方で、(過去記事2)で書いた受験指導者も言う通り、私立中学受験では地頭だけでなく、努力の要素が大きく入り、小学校では教わらない民間の塾ビジネスでの指導が効果的のようだ。

 しかしそれだと民間の塾を太らせるだけで、富裕層や一人っ子家庭、少子家庭が有利となってしまう。

 こんな傾向は日本や一部アジアだけの特徴なので早く終わらせるべきなのだが、私立中学が塾ビジネスに偏差値操作などで首根っこを掴まれている限り、私立学校側にはどうすることもできない。

 これは政府が介入すべき事柄である。入試形態において、公立中高一貫校適性検査型、理社禁止、小学校6年生二学期までの国語算数を超える内容の禁止、などを政府が要請してはどうか。

 あるいは中国のように民間学習塾自体を潰す方向にするとか。これによって中国の二十歳時点での能力が低下することは無いだろう。むしろ多様性が増して強くなる。

いきなり潰すというのが難しければ、規制を作って徐々に潰していく。どのみち少子化で斜陽業界だ。小学生の睡眠時間を削ることで収益を拡大している(過去記事3)。収益を増すために更なる若年化をすすめてしまっている。株式会社として収益を上げる論理ではそれが正解となってしまうのだ。

 

 国の戦略として二つある。

ひとつは、民間塾による私立学校の偏差値ランキングを禁止するということだ。

もう一つは、公開模試は民間が問題作成採点するとしても偏差値表などの集計は政府が行う。合格不合格も生徒の電話報告でなく学校から国へ正確な情報を伝達する。あるいはより現実的なのは天気予報のように複数の民間に資格を与えてやってもらう.日能研のひとつの模試に対して合格可能性を判定する民間事業主が沢山あってよい.

 今現在はどちらの方針もとらない。どっちつかずだ。結果的に民間業社の不正の温床になる偏差値ランキングができている。

 国としての舵取りができていない。

 性風俗や暴力団やパチンコなどの取り締まりと似た状態といえようか。ここが欧米と違う。公的には認めないながら暗に認めながら締め付けていく。

 

 

 これは充分少子化対策につながると思う。少子化問題の戦犯は塾予備校でもある。

 

 

(過去記事1)

 

 

(過去記事2)

 

 

(過去記事3)