中学受験勉強を勧めないとか(過去記事1),
受験勉強自体を否定してる私なのですが,やっぱり学習塾の経営者も大変らしい.
1都3県を中心とした私立中学などの受験者数は「首都圏模試センター」の推定で5万2400人と少子化の影響を受けて10年ぶりに減少
中学受験生数は今年は昨年より減ったらしい.
子どもの数が減っているからだ.
都心では受験生率は増えているものの
(とは言っても増えたのは0.1%だけ)
子供の数の減少には追い付かないので結果的に中学受験生数は微減.
大学附属校に入らなくても大学は入りやすくなっている。
中学受験業界はもう衰退が確実なので商売として旨味がないことは明らかだ.
代々木ゼミナールが大学受験事業を縮小してSAPIXを買って中学受験にシフトしたが,それでも斜陽産業であることは確かだ.
塾講師は授業をするよりも,営業を成功させることが大事になってきた.営業が目的で,良い授業や良い合格実績は手段なのだ.
そのためにはいろんなテクニックがあるらしい.
電話で保護者・生徒に面談に来てもらうときには,あえて
”今希望者が殺到していてとても忙しいので約束の時刻に別室で5-10分ほど待たせる可能性がありますが,よろしいでしょうか?”
というらしい.そんな可能性は無いのだが.20-30分だと嫌がられるだろうが,5-10分なら了承してもらえる.むしろ,そんなに人気のある塾なら,入塾しないと定員いっぱいになって入塾できなくなるかもしれない,と思わせるのが手なのだ.
合格実績も怪しいようだ.
2024.1.28時点での灘中学の合格者数(2023.1.29)
浜学園111(92)
希学園 53(64)
馬淵 58(60)
日能研 41(52)
早稲アカ52(49)
SAPIX 33(30)
能開セン13(10)
塾合計361(357)
公表 281(281)
差 80(76)
7つの塾の合格者の合計が学校公表値を80人上回っている.この理由は以下が言われている.
(1)SPICAという東京の塾があり早稲アカが経営している.現場の運営は早稲アカと馬淵が共同.SPICAの合格実績を早稲アカ・馬淵へ重複でカウントされている可能性あり.そこは説明されていない.
今SPICAのHP見たら,灘39名合格となっている.
(2)ダブルスクール問題.一人の生徒が複数の塾へ通っている場合.個人情報の問題があるので,同時に長期間通っているならまあ重複カウントされてもしかたない.
最後の2-3週間の講習参加者をカウントしてはいけないと,全国学習塾協会のルールではあるが,それが守られていない.
(3)ブランド名は同じだけど,集団と個別で会社が違う塾がある.同じ生徒が集団と個別の両方に通っている場合,1人を二人分として合格実績をカウントしている.
(科目ごとに集団,個別,映像,自学自習と分けることで4カウントの可能性もある)
(4)四谷大塚の合格者に,四谷大塚予習シリーズを教材として使う提携塾・早稲アカなどの生徒が含まれている可能性
(5)学校によっては補欠合格人数が非公表.
今年の桜蔭中学は学校発表の合格者数は287人のところ
SAPIX・早稲アカ・日能研・四谷大塚・栄光ゼミナール・市進学院・臨海セミナー・グノーブル
の8つの塾を合わせると359人で72人超過.
下によれば,筑波大付属は学校発表の185.5%が塾合格者数らしい.
上の上のサイトの人も言っているけれど,塾があたえるサービスの質・価格はもうコンビニなんか他の業界と同じで,まあどこも同じなんだよね.
経営者視点で言えば.
バイトか正社員などある程度の人材をある程度の給与で採用してある程度研修して,四谷大塚の予習シリーズでも別の教材でも良いけど使って,授業させて,営業してチラシ配って面談や体験授業させたら,あとは立地とかそんなことくらいしかやることは無い.授業の形態を集団・個別・映像と工夫することはあれど,それもどこの塾もやっている.入塾相談に来た保護者・生徒にどんな対応でどんな資料を配ろうか,退塾しないように季節講習とるように生徒と関係性を築いていってとか.
会社を経営していくのは大変なのよ.
どのタイプのどのレベルの生徒にどうしたらどのレベルになれるか,
なんて,何年仕事をしていてもノウハウが残るわけではない.ランダム性が強すぎて.
目の前の偏差値30の生徒を40の学校に入れたところで,その子が偏差値30だった個人情報をHPやチラシで公表するわけにもいかないし,顧客獲得に結び付かない.合格実績残すには,合格実績あげそうな生徒を入塾させるしかない.
前半赤字で書いたような電話営業や客あしらいのテクニックは経験積めば上がるだろう。でも学力向上させるためのノウハウは何年勤めても上がらない。そんなノウハウは存在しないからだ。ランダムネスの世界なので。だから学生バイトを安く雇うので間に合う。
(過去記事1)