(過去記事1)でも述べた

塾産業の怪しさの話.

 

 

 偏差値60の子を70にあげる再現性のある教師力がもしもあるのであれば,そんなノウハウは一つの企業で情報独占せずに,世界的に発表してくれれば,ノーベル賞どころの騒ぎではない.永久不滅で歴史上名を遺す偉人になれるだろう.

 

 再現性が無いのであればそれは魔術と同じだ.迷信にまどわされていた昔の大衆も今の大衆もDNA的にはほぼ同じだ.

 

 その偏差値60を70にする能力があるなら,偏差値30の子を偏差値40にあげることだって可能に違いない.もしも不可能なら学力やIQや知能の定義を変えなければならない.

 29.5を40.5に挙げるという事は,軽度知的障害児を境界知能でもない平常知能にあげるということになる.

 それは全世界が注目するたいへんな偉業だ.それを日本の一民間企業が独占しているなんてありえない.

 

 教育も療育も,結局は普通の人が普通の人に頼まれてやってます,という,ただそれだけのこと.ノウハウもないのにやってるなんて詐欺だ,という考えもありうる.

 医療であれば,薬事法・医療法などで政府が管理し,効果の客観的に証明されていない薬・医療行為を行ったものは処罰されることがありうる.1976年承認申請された丸山ワクチンは1981年不認可とされたが,藁をも掴む癌患者が手に入れようと奔走していた時代があった.

 

 

 100年昔のアメリカの新聞広告はほとんど(あやしげな)薬だった.コカ・コーラも薬として売られていた.医療保険制度もなく,医師も少なかった時代は,大衆はかなり薬に頼っていた.大量に出回っていた効果の無い薬をとりしまることに政府は成功した.

 効能が科学的に証明されないと厚生省から承認はおりない.丸山ワクチンは今でも研究が続いているがどれも否定的だ.

 

 教育界・療育界では,教育・療育行為をすることそのものが正義になってしまい,なんの効能もなくてもビジネスになっており,政府が取り締まることは無い.

 

 塾の利益優先のために子供を夜20時過ぎまで授業という形で監禁し,帰ってから宿題して風呂入って寝るのは22時過ぎだ.翌朝学校へ行くから,学会が推奨している小学生の睡眠時間9-12時間は達成できない.そのために心身や海馬が成長できないが,塾は中学に受かることが目的で,その後は知らない.この睡眠時間は国際比較しても日本は圧倒的に少ない.産業革命期のイギリスの子供たちが過酷な労働に強いられていたことに匹敵するくらい,中学受験塾の利益の犠牲になっている小学生は過酷な状況に追い込まれている.

 

 

 塾は,一部有名学校合格者数を得ることが実績であって,そのために何名の子が不幸になったとしても,それはカウントされない.

 

 偏差値30(IQ70)を40(IQ85)に上げるために抜く人数と偏差値60(IQ115)を70(IQ130)にあげるために抜く人数は同じなので,難易度は変わらないようにも思えるが,学習塾は後者の方がビジネスになるのだろう.

 偏差値30の子が成績あがらないと塾は辞めてしまうだろうが,偏差値60の子なら成績あがらなくても塾を辞める率が少ないからだろう.そのままでもそこそこの学校には合格し,塾の宣伝には使える.偏差値30の子を偏差値40の学校に合格させても,塾としては宣伝につかいずらい.

 

 

(過去記事1)