(過去記事1)で,療育の方法論には地域性があると書いた.

ABA療育の本場は米国カリフォルニア州で,日本なら瀬戸内海だ.兵庫や徳島が有名だ.

 

早期ABA療育は現在,科学的根拠が報告されている唯一の療育方法と言ってよい((過去記事2)に書いたPACTもABAと本質は似たようなものだと私は考えている).

 

ABAとは応用行動分析学の略語で,強化と弱化を意図的に教師役が働きかけることで,良い行動を増やし,困っている行動を減らす教授法と言える.明石市が本拠地のつみきの会などが発行しているテキストでは詳しく書いてある.線の弾き方から数の数え方までマニュアルがある.

 昔ながらの飴と鞭による教授法の現代版とも言えるだろう.鞭とは言っても罰を与えるわけではなく報酬を与えないというマイルドなものだ.強化子(飴)はその子に応じて違うが,実際に飴を小さくちぎって使うこともある.もうひとつは,かなり体系化されたテキストが存在するという事だ.私も買って読んでみた.過去の成功例が沢山載っている.

 

 

 

 

 

 ただし,アイムの佐藤典雅さんはABA療育には効果が無く副作用があると書いている。佐藤さんは本場カリフォルニアでABA療育を真剣にやったうえでの結論だった.

 

 

 ある療育サービスのウェブサイトには,ABAは全ての子供に適用できると書いてあってびっくりした.別の医師が書いているブログではABAには子供によって向き不向きがあると書いてあって,それには納得した.うちの子にも本に書いてあることを試そうとしたがのってこないのだ.うまい強化子が見つからない.

 

 

 

 

 ABA療育と対峙する考えがある.エドワード・L・デシ(Edward L. Deci, 1942-)のモチベーション理論だ.

外から与えられる報酬(外敵報酬)が,内発的なモチベーションを低下させる

という考え方だ.

 ABAはまさに報酬で釣るのだが,報酬で釣ると,報酬が無くなると,最初から報酬が無かった時よりも,モチベーションが下がるという事だ.

 勉強のために報酬を与えると,報酬がなくなった途端に勉強をしなくなるということだ.幼少期からお受験で頑張っていたが,大学合格とともにそれ以上の学問的向上心は無くなるタイプはこのタイプだと思う.

 

 ABA療育は短期的には効果があるとしつつも長期的効果が確認されていないのは,測定が難しいこと以外に,こういうことなのかもしれない.

 

 短期的には報酬で効果を上げても、短期的成果を狙わず報酬を与えないことで長期的にはより高い成果を上げる方法にはかなわないということか。うちはこっちのタイプかもしれない。


 続く




 

 

 

(過去記事1)

 

(過去記事2)