(過去記事1)の続き。
アパートって書いたけど、日本で言うならマンションのこと。
マンションは本来豪邸の意味で集合住宅の意味はなく、大型集合住宅をマンションという呼び方は日本だけらしい。
主要人物は
住民代表 ヨンタク(1970.7-) 俳優イ・ビョンホン
防犯隊長 ミンソン(1988.12-) 俳優パクソジュン
その妻 ミンファ(1992.2-) 女優パクボヨン
代表の部屋の隣の若い女 へウォン(2003.11-)
婦人会長(1976.4-)
兵役免除の男 ドギュン(1981.6-)
このくらい。カッコ内は演者の生年月。
撮影は2021.4-8.
だから、最年長の代表でも50-51才。
住民代表は、妻と娘がいて、家族のためにへウォンの隣の部屋を買おうと金を払ったが騙されていた。その詐欺師ヨンタクの部屋に行くと、ヨンタクは寝たきりの母親と暮らしていた。騙された怒りにヨンタクを殺した時に大地震が起き、そのままヨンタクと名乗ったまま災害時の活躍のために住民代表に選ばれる。
イ・ビョンホンは何のために戦ったのか。自分が買ったはずのマンションの部屋のためか。そこに狂気が見られる。車の購入費用を騙されてもこうはならないだろう。家というのは家族を象徴する特別なものなのか。
ヨンタクを殺したその瞬間に娘からイ・ビョンホンの携帯に電話が来る。話の途中で妻が代わり騙された事で彼を罵倒する。
出産して育児に大変な時に夫に追い詰められる妻の男女逆バージョン。夫は家族の家購入のために追い詰められていたのか。
本来ならこの大災害で妻子の安否を気にして妻子の住む場所へ行くだろうが、イ・ビョンホンはそうしない。そのアパート以外付近は倒壊していて行けないと判断したのか。
最初は祭り上げられて代表になったものの、だんだんとその仕事にのめり込んでいく。部外者排除に狂気を抱く。
イ・ビョンホンが守りたかったのは、購入したマンションだったのか?
防犯隊長ミンソンが守りたかったのは妻だ。彼女のために代表に土下座で許しを乞い、償いとして、部外者排除、食糧強奪のための殺人など防犯隊長として冷徹な仕事を求められる。
婦人会長が本当に守りたかったのは息子だ。40代と思われる彼女は懸命に実務面のリーダーとして気丈に振る舞うも、食糧強奪のための遠征で息子が命を落とし、気を取り乱す。
ミンファ、へウォンなど子供のいない女、また病気で兵役免除した男ドギュン、おそらく彼に妻子はいない、彼らが守るのは、アパートから排除されている部外者たちだ。
私がその場に最初からいて住民会議に参加していたら、部外者排除に賛成はしなかった。しかし、問題点はそこではない。
守りたいもののためには強くなれる。
ミンソンは妻を守るのに必死だった。
しかし妻ミンファは夫ではなく排斥された部外者に気が向いていた。
これが逆だったらどうだったろう?
ミンファが流産していなかったら?
ミンファに子供が三、四人いて、ミンファが母として懸命に子供と夫を支える中、夫がドギュンらと共に、排斥された人たちを救うべく活動していたら?それは映画として成立しただろうか。戦後すぐの古い映画ではそれに近いものがあったような気もするけど。
買ったはずのマンションを守る狂気。
妻の慈善活動の尻拭いのために殺人も犯す夫。妻は代表に頭を下げない。子供の為だったら土下座もしたろうが自分と夫のためにはしないのか。
この2人の男もドギンンも死ぬ。
この映画に出てくる人は普通の人ばかりだ。卓越して知性と勇気に溢れた善人は出てこない。最初の方で議員さんが出てくるが、マンション部外者のため排除されて凍死する。
いろいろ考えさせられる。
(過去記事1)