「ホントは炭火焼肉屋がやりたかったんだ!!」
走っているはずなのに、
タムラさんの腹はなぜか揺れていなかった。
走り方も、変だ。
追いつこうというより、やたら下腹部にだけ力を入れて、
おなかを突き出している。
なぜだ。
そんなにも、見てほしいのか。
俺は思い出した。
そして、今までのことを振り返った。
つかれきった上司に誘われて座った席は、生臭い臭いに
腐った面子。
なのに、好物は腐らないドライきゅうり。
やけに主張してくるくそのっぽ。
そういえば、名古屋出身で中日ファンだった。
そして、唯一人といえる形を残した俺とブヒ江。
ホルモンの専門店。
ホルモン館。
俺はすべてを悟った。
これは上司からのメッセージだったのだ。
この3年間、正直俺は自分の人生に真正面から立ち向かっていなかった。
上司はそんな僕をいつも叱咤激励してくれた。
そして、自分のことをこうも言っていた。
「俺は今、家族を持とうとしている。だが、男としての夢もある。
早くお前が一人前になってくれたらなぁ。」
今回の出来事は、スカウトだったのだ。
そして、あの席に座ったメンバーはすべて仲間であり、従業員。
僕は立ち止まった。
上司:「そうだよ、やっとわかってくれたかい?」
いつの間にか緑ではなくなっている。
アン「あなたの力が必要なのよ。」
タムラさん:「僕たちはもう麻痺してるから、また食中毒騒動を起こしてしまうからね。」
クソノッポ:「すんまへん、わてからもお願いしまっさあ。あんさんのそのなんでもかぎ分ける能力が必要なんす」
小西さん:「自分どうなん?」
ブヒ江:「「こんな風な形で伝えるなんて、私は反対だったんだけど。でも、お願いします。」
おお、なんだこれ。
ドラマじゃないですか。
でも、リアルなのか。。
ブヒ江。。
俺は意を決した!
俺:「条件が三つある!!飲んでくれるなら、やってやる!」
「ひとつ、ブヒ江は俺にくれ!!」
「ふたつ、社長はタムラさんじゃなくて、俺がやる!!」
「最後に、ホルモンは捨てるもんじゃねぇ、いるもんや!!」
・・・
・・
・
2週間後、三田に新しい焼肉店がオープンした。
「新鮮な豚肉とドライきゅうりの専門店★ブヒ江★ 3号店」
厨房には僕とブヒ江とタムラさん。
最近のタムラさんの口癖はこうだ、
「ホルモンはいるもんや!なぁ社長!」
どうやら、まだブヒ江を取り返したいのか、僕に内緒でホルモン館を
復活させようとしている。
店内には、クソノッポと小西さん。
元上司とアンちゃんは今は新婚旅行中。
ブヒ江は一日中甘いもの、ビール、油物を食べている。
なのに、いつもやせてて、常連さんには看板娘と評判だ。
そして、女性客からは、私もブヒ江さんみたいにきれいになりたーい!!
こんなとき、決まって彼女は言う。
「うちの豚肉を食べれば、あなたたちも絶対ぷりっぷりの豚肌になれるわよ★」
- お手軽!!ボイル済み豚足もちろん北海道産豚!!
- ¥420
- 焼肉・ホルモン丸亀 Yahoo!店
さぁ、人類ブヒ江計画の始まりだ!!