スペシャルメニュー
一口に言っても容易ではない。
なんせこの数年間、僕は「ちんもーはん」しか作っていない。
スペシャルメニューというからには、今までと違う何かを出さなければ
ならなかった。
そこで僕は、ここにきてからずっと考案していた「てんてんめん」を
完成させるべく、本気で研究することにいた。
そうは言いつつもなかなか新たな閃きが生まれない。
どうしたものか・・・思い悩んでいるうちに大変なことに気づいてしまった。
そう!!
あまり気にしていなかったが、ここに来てから一度も外出していない!!
それどころか、外がどうなっているのかすらほとんど知らない!!
テレビはあるが、リモコンがなく、GAORAしか映らないのでかろうじて、
スポーツ情報だけは把握できると言う状況だった。
ことの重大さに徐々に危機感を感じ、新メニュー「てんてんめん」の完成
の為にも、久々に街に繰り出すことにした。
亀に事情を説明。説得に1週間以上費やしたが、ついに納得し、ルーラで
街まで送ってくれることになった。
・・・
久々に東京に帰ってきた。
すぐに六本木に向かいたい気持ちをぐっと抑え、まずはCHINMO-YAの状況
が気になり、急ぎ確認に向かった。
みんな元気だろうか。
店長の俺が急にいなくなって困っただろうな。
中性的な顔立ちの片言店員:アンはよく河童と間違えられていたし、
コック長と言う名のつまみ食い専門店員:TOMIYOSHIは鯖江と間違えられていたし・・・
特にプアカー男が心配だ。
ほんと女にだらしないし、目を離すとすぐ店の割り箸を王様ゲーム風に配っていて
客からのアンケートに「生理的に受け付けられない」とまで書かれていたからな。
![](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fecx.images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F513-T9RtwOL._SL160_.jpg)
そんなことを考えながら、内心では皆に会えることを楽しみに、スキップスキップ
ランランら・・・ん?
ん?
んん!?
・
・
・
店がない
どういうことだ!?
数年ぶりだから場所を間違えたのかと思い、辺りを確認したがやはり間違いない。
僕のCHINMO-YAがなくなっている。
その代わりにOffice街に全く似つかわしくない、きらびやかなピンクゴールドに
彩られた店が立っていた。
店の名前は「PティPティ」。
ふと、店の前でボーイ風の男が、目の前を通過するサラリーマンを見つけては、
仕切りに50分3,000円を謳い文句に店に連れ込もうとしている。
いや待て!!
そのボーイ風の男、よ~く見ると・・・間違いない!!プアカーだ!!!!
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あんのクソ野郎!!・・・