パーティー券問題を発端とした検察側の動き(東京地検特捜部による衆参両議院議員に対する任意事情聴取、逮捕など)については、「大山鳴動して鼠一匹」に終わるのではないか、政治資金規正法の改革については、与野党の意見の一致が見られないのではないか、自民党政治刷新本部の議論を巡っては、派閥解消の決定は見送られるのではないかなどの疑問が拡大している。結局岸田総理大臣は解散総選挙に打って出ることができず、今秋の自民党総裁選で後進に道を譲らざるを得ないのではないかとのメデイア解説も流れている。

 

こうした状況下で最も憂慮されることは、時とともに有権者の政治に対する関心が薄らぎ、次の総選挙では相変わらず投票率が低くなり、旧態依然の自民党長老政治が今後ともだらだらと続いていくことだ。これを防ぐ一つの重要な役割を負っているのがメディアだ。しつこさがなく、すぐにでも「諸行無常の響き」に陥りがちな有権者を次の総選挙まで覚醒させることのできるのは、メディアだけだと言っても過言ではない。それ程までに今の日本におけるメディアの役割は高まっている。

 

メデイア報道については、事実関係の報道と解説とのバランスが重要だ。しかし、現実はバランスがよく取れていない。報道については「見出し」先行で、解説については「オタク」に陥りがちだ。双方とも、もっと要領よく簡潔にして欲しい。特に解説については、読者が自らいろいろと考える気持ちにさせる材料を提供して欲しい。解説者の独りよがりは止めていただいきたい。

 

今の日本に必要なことは、「モリカケ」問題の二の舞を避けることだ。野党間の意思疎通を密にし、政治資金規正法改革について一定の方向性を相互に確認しつつ、パーティー券問題をうやむやにさせない活発な国会論戦が望まれる。これを報じるメディアとタッグを組んで、派閥の会計事務担当者だけでなく、政治家の責任も追及可能とする政治資金規正法改革案を議員立法していって欲しい。