妄想小説【Love in the Ice】 4 ~歌う声~
『あのー、このボタンが....』
そう言ったのはさっき私が顔を上げた時に目が合った人だった。
えっと。。。ユチョンさんだっけ??
カメラマンからの指示を伝える為に名前を呼んでいたので、なんとなく彼等の名前と顔が一致していった。
彼の服のチェックに行くとシャツのボタンがひとつ取れかかってぶらさがっていた。
『あー...ごめんなさい。すぐ付け直しますので!』
ボタンを付ける間少し撮影が中断した。
『じゃー、ちょっと休憩にしましょう』と編集の方の声でその場のスタッフはそれぞれ散って行った。ユチョンさん以外のメンバーも外に出てみたり、控えに戻ったりしてその場は急に静かになった。
『着たままでいいですか?』
『あ、はい。ちょっと付けずらいので他のボタン外してもらっていいですか?』
他のボタンを外してもらって、取れたボタンを付け始めた。
胸の辺りにチラっとタトゥーが見えた。
(へー...何か意外。。。)
そう思いながらシャツに針を通していると
『英語,,,上手なんですね。イギリスの人の話し方ですね?』と彼が言った。
『上手くないです...ロンドンに留学していたのでイギリス風な発音ですけど。ユチョンさんもさっきカメラマンに英語で何か聞いてましたけど上手なんですね』
『僕は。。。デビューする前までアメリカでしばらく育ったんです』
そう言って彼は少しうつむいて少し笑った。
『あ!上手とか言ってごめんなさい!!ネイティブなんですね....失礼しました』
中腰のまま彼を見上げて謝る私を見て彼はまたクスっと笑った。
『だいじょぶっすよ』
ボタンが付いたので彼は全部ボタンをとめながら、なんだか耳がくすぐったい様な甘い声で鼻唄を歌っていた。
とても心地よい声だったので、私は離れた所からしばらく目を閉じて彼の小さな歌声を聴いていた。
外へ出るガラスドアのそばに立って、落ちかかってきた陽の光を受け彼の声を聴いていると、なんだかそのまま少し眠りに落ちたい様な、なんとも言えない気持ちになる声だった。
外では他のメンバー2人が、転がっていたボールを蹴ってはしゃいでいる。
『はい、これで大丈夫ですか?』と言う彼の前に立ってチェックをすると、ボタンがひとつかけ違っていた。
私が笑いながらボタンをかけ直しながら『だいじょぶっすよ』と言っうと、彼は手を叩いて笑っった。
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こんにちは、ナオです(*^ー^)ノ
そろそろこれ、公開しようと思います。。。
怖いな、なんか