生ハムの原木を『飲』んだことはあるだろうか? | ALWAYS JUN !!〜伊藤純一は歌手である〜

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俺は、ある。

つい数時間前のことだ。

今日は、そんな珍しくも素晴らしい味を経験したので、ここで紹介させてもらう。





神田神保町の大通りから水道橋側に一本。
オレンジの壁と暖簾の横の覆面(マスク)が目標のお店『出汁処 覆麺 智』

この店の前では、どうしても深呼吸してしまう。


寸胴の真上にある換気扇からの匂いの所為だ。



このお店のメニューは少し変わっていて、
曜日毎に一種類のラーメンしか出さない。

曜日によって、醤油、塩、つけ麺、と味を変えていくのだ。



そんなお店に、俺は火曜日しか行かない。

何故か?

それは『火曜は塩らーめん』の日だからだ。



券売機にお金を入れて発券。

カウンターの向こうの顔馴染みの店主へ、新年の挨拶とともに渡すこと数分…来た。








透き通る様で海の様に段々と色濃くなるスープ。
このラーメンの味の深さが容易に想像できる。





先ずはスープをひと口。

想像以上に静かな香りが鼻を抜け、旨味が舌をコーティングする。

もう舌の逃げ場はない。
そう思ってしまうほどに旨味に囲まれる。



飲み込み、ふん、と鼻から漏れるため息の様な空気。

鼻腔が薫りで満たされる。




人は、深く繊細で、鮮明な美食に出くわすと、
力が抜けてしまう。

何かが綻ぶのだ。涙腺とか。


一口でそうなるのだから凄い。

レンゲと箸が勝手に進んでいき、
麺を啜り、シャーシューやメンマを先に終わらせ、
最後にスープとの真っ向勝負が始まる。



この頃にはもう舌も鼻も完全に降伏しかけているのだが、スープを飲むのが止められない。

トッピングされたネギと、最初からかかっているコショウ。


それによる錯覚。




ラーメンって日本の食べ物だっけ?

イタリアとかスペインとか、あっちの方の料理じゃなかったか?


と、あり得ない考えが浮かぶ。


それほどまでに、今まで感じたことのない新しい味だった。




最初は未知の味覚に戸惑いつつも美味さに翻弄されていたが、
胃に入り、
ジワジワと舌が慣れ、
しっかりと生ハムの味を感じるようになる。


そこで改めて、
「なるほど、これは確かに『生ハムの原木からとった出汁』だ」
と実感するのだ。


最後の一滴を飲み干し、店主と二言三言言葉を交わし、長居せずに退店。

元より長居しないスタイルのカウンターのみの店。
サッと食ってサッと帰るのが正しいのだ。




後になって考えてみれば、生ハムは熟成の過程でタンパク質がアミノ酸に変化していく。


つまり、出汁を取るにはうってつけなのだ。



採算度外視のなんとも贅沢なラーメンだが、お店からのお年玉ということで、
ありがたく頂戴した。




ごちそうさまでした