異世界の住人みたいな伊藤純一が言うのもなんだが…。
異世界モノが流行る理由というのは現実逃避願望の現れなのだそうな。
つまり、今の生活からかけ離れた世界に没頭したいということだ。
なるほど。
確かにあの世界にはブラック企業もなければ、悪臣悪王の類は成敗され、唯一現実感のある主人公に自己投影してヒーローになれる。
よく出来ているモノである。
御多分に洩れず伊藤純一も異世界モノが好きだ。
いや、違うな異世界に住む人々の話が好きだ。
彼らにとっては「異」世界ではなく、それが現実。世界そのものだ。
大木生い茂る森に住むエルフは狩猟とキノコの判別に長け、
鉱山にたむろするドワーフたちは鍛冶屋として武具を造り、それを交易して得た金で酒場で酔い潰れ、
廃墟に住む小鬼たちは商人や旅人を襲い金目の物を強奪し、
輸送に困った商隊はギルドに依頼をして冒険者の仕事とし、
それぞれが当たり前のように動き、当たり前のように繰り返されて、それなりの幸せの中で生活する。
そんな、ここではない世界の、当たり前の日常を見るのが好きだ。
英雄は生まれても超人はいない。
何故ならそれが普通だからだ。
それも現実逃避願望の現れなのだとしたら、俺の目にはどんな世界が映っているのだろう。
みんなとは違うのかもしれないな。
