キングレコード歌謡選手権大会。
全国決勝である。
幸い、喉も少し治りかけているので、明日は多分大丈夫だと思う。
いつまでもこんな所で燻っているわけにはいかんからな。
何か一太刀。爪痕の1つでも残して帰りたいものである。
数々のライブに出ては来た。
同じステージに立つ共演者達を見て、いつも嫉妬や敗北感にも似た何かを感じている。
彼らより歌は上手いかもしれないが、
彼らより人を惹きつける力はないのではないか?
彼らより周りを笑顔にさせているのか?
あいつらはなんてキラキラしているのだろう。
羨ましくなるのだ。
それは、同じ事務所の後輩達にも言えることで、下から押し上げられると、悔しくもあり、頼もしくもあり。
だが、
伊藤純一はそれではいかんのだ。
俺の求める伊藤純一は、
俺がたどり着きたい伊藤純一は、
伊藤純一が伊藤純一であるためには、
何よりも強く。気高く。
みんなを幸せにする歌を歌わなくてはならんのだ。
明日の大会で優勝して、
それがなにに繋がるかはわからないけど、
最初の一歩を踏み出して、次に来る後輩達の露払いくらいはしてやりたいのだ。
次に歩むであろう、素晴らしくも未熟な後輩達のためにも。
俺に続け!
と言いたいが故の我儘なのだ。
