江戸・東京が震えた日 安政大地震と関東大震災 | 健全なVINYL中毒者ここにあり

健全なVINYL中毒者ここにあり

中古レコードと古本だけを愛す

読んだ本、買ったレコード、その他雑多なものあれこれと山小屋暮らし

 

おー、今まで何十冊も紹介してきた光人社NF文庫に、戦記以外のものがあったとは!じつは俺の一生の興味は3つのことに絞っている。このブログでおなじみの戦争、60年代の音楽、そして江戸時代だ。江戸の地震とは題材としても興味あるが、光人社NF文庫のコレクター?としても入手して読まねば。著者の永沢さんは他には何冊か戦争関連の本を書いていらっしゃるよう。

 

江戸時代の最終盤の数年の間に地震が相次いだことは知られているが、その中でも被害の大きさでは群を抜いていたのが江戸の安政大地震。安政2年10月2日、陽暦1855年11月11日午後10時頃、江戸直下の断層の活動によって生じたもので、死者数ははっきりしないが1万人程度らしい。関東大震災のことは我々は幼少時からさんざきかされるが、東京エリアはもちろんいつでも大地震は起こるのだ。

 

二つの地震についての市井の人の記録をひもとき、地震前の予兆(清水が湧き出たとか遠方に煙がたなびいたとか)、被害、復興の様子をなぞる。安政大地震ではその後の政策を皮肉った錦絵を取り締まる幕府、関東大震災では朝鮮人殺害などの‘私たち日本人の反面’についてページを割く。首都機能を揺るがす大地震は近々起こる。そして日本政府による言論統制、日本人による異分子の排斥なども繰り返されるのだ。帯にあるような‘庶民の力強い息吹き’を、近年の劣化した日本人から感じることができるのか。

 

平成24年

光人社NF文庫

永沢道雄 著

 

購入価格 : \110