のり平のパーッといきましょう | 健全なVINYL中毒者ここにあり

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桃屋のひとの口述の書籍化。俺の世代くらいの人間には本当に桃屋の印象しかないが、おそらく真の喜劇役者といえる数少ない人。俺にはもっと他に読まねばならない本が多いのでこういうのは後回しになるはずなのだが、昭和10年代の演劇シーンについて書かれていたことと、軍隊に関係する面白い話がでていたので急いで読んでみた。文章化した小田さんが息子さんから‘よくここまでおやじから聞きだしましたね’と言われた秘話満載の本書は、のり平さんの希望どおり死後に発表されたもの。

 

三木のり平、というのは芸名だ。本名は田沼則子と書いて‘たぬまただし’といった。お父さんが‘歴史を見れば子が付いた偉人は小野妹子に孟子、孔子などいっぱいいる’と言い張ってそう名づけられたという。生まれは大正13年とくれば、戦場送りど真ん中世代のはずだが、いつまでたっても徴兵検査の連絡が来ない。おかしい話だが‘あのー、検査はまだですか?’と役所までききにいったら、なんと女として登録されていたという。その名前ゆえの珍事。結局終戦3日前に呼び出しがかかったものの、当然兵隊経験はなし。こんなことってあったんだ( ̄¬ ̄*)。

 

のり平さんは根っからの演劇人だ。‘映画なんてくだらない’と言い切る。舞台はまったく儲からないから、カネ稼ぎのためにしぶしぶ映画には出ていたと。演劇論を多く語るが俺にはまったくわからん。この本で面白いのは、随所で差し込まれるのり平さんの知識の豊富さと面白さ、それに昭和の数々の名優とのエピソード。飲む、打つ、買うの話はやっぱり面白い。数多い写真が白眉。

 

 

この写真はポスターで欲しい (゚∀゚*)ノ 

 

平成11年

小学館

三木のり平 / 小田豊二

 

購入価格 : 拾いもの\0