遠い轍 | 健全なVINYL中毒者ここにあり

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はは~ん。これは手にした瞬間に分かった。以前紹介したこれと同じく、自費出版の本だ。シンプルな表紙、大きな文字、著者の住所、電話番号入りなどなど、自費出版の特徴を備えている。著者の経歴をとりあえず眺めてみると雑誌の編集者だった方とのこと。写真には多くの著名人との取材の折に撮影されたものが。あまりこういう自費出版本にはそそられないのだが、軍歴があるようなので読んでみることにした。

 

一代記などというものではなく、著者がいうとおり身辺雑記を描きつらねたもの。九州で過ごした幼少時代のはなしが少々あって、全編の半分を占めたのが人生でわずか2年足らずの軍隊時代。昭和18年暮れに学徒出陣で陸軍に入隊、無線通信隊に配属される。寒い北満で勤務の後、昭和20年春に本土防衛陣地築営のため茨城県に転属、終戦を迎える。結局戦闘経験無く、シベリア抑留も回避してあまり飢えることなく復員できたのは幸運だった。陸軍少尉になっていた。

 

 

この本はたまたま手に入れた本の束の中にあったもの。同じ束の中には小林孝裕氏による名著‘海軍よもやま物語’もあった。そちらにも小林氏の住所の記載があったのだが、横浜市旭区希望が丘で小林氏と村谷氏は超ご近所さん同士だった。じつは俺が入手したその本の束の入手先も希望が丘。どうやって集まった本だか知らないけれど、おそらく地域のつながりで出回った1冊なのだろう。謹呈の文字入りしおりには村谷さんの自署がある。

 

 

平成7年

家の光出版総合サービス

村谷直道 著

 

購入価格 : 拾いもの\0