日本人が好む投資信託の上位に
「毎月分配型投資信託」があります。
名前のごとく
毎月分配金が支払われる投資信託で
手元資金として直ぐに使えるとしてメリットが高い商品と言えます。
特に「リタイア後の生活資金を分配金でまかないたい」というニーズにマッチした商品ともいえるでしょう。
日本ではここ数年は常に
「純資産残高」上位に多数の毎月分配型投信が入るほど人気となっています。
しかし、そのメリットやデメリットをしっかりと把握した上で
投資を検討する必要はあります。
【メリット】
先ほどもお話ししましたが
毎月分配型の分配金は、手元資金として直ぐに使えるというメリットがあります。
特に生活資金を分配金などでまかないたい、一部を補完したい方にとって最適な商品と言えるでしょう。
また不動産投資信託であるREIT型の場合であれば
市場のリスクを分散するオルタナティブ投資として
ポートフォリオの一部に加えることでより強固な資産形成を行うことが可能になります。
以上を踏まえた上で
ご自身のライフプランや目的に沿って投資先の選択肢とすることは効果的と言えます。
しかし、そのデメリットもしっかりと把握しておく必要があります。
【デメリット】
一見すると
利回りが年20%前後になる投信も多数存在する「毎月分配型投資信託」ですが
そのカラクリを知らずして投資をするには注意が必要です。
あらゆる投資判断の原理原則は
この一点に尽きます。
「その配当・分配金はどのようにして生まれるのか?」
当然ながら
企業も投資商品も
「何かをやって儲かって初めて利益の還元が行えるのです」
投資信託に関しては
投資家から預かった資金を何かしらの投資対象で運用をして
利益が出たその一部を投資家に還元することになります。
こうした原理原則を考えると
毎月分配型は毎月の分配金の支払いを約束していることになりますから
本来であれば投資対象自体が
そうした特性をもったものにならなければいけません。
分りやすく言うと
株式のような日々価格が変動する投資対象であれば
株価や業績がよいときには分配金を支払えるが
そうでない時は分配金を支払えないことになります。
しかし投信としては
毎月一定の分配金を拠出する必要がありますので
結果として、利益による分配金が支払えない場合は
投資家から預かった元本を切り崩して分配金を支払うことになります。
その為、毎月分配型投信の多くは
不動産REITなどの投資対象が多くを占めているのです。
しかし、不動産REITでも先ほどの原理原則は同じです。
毎月一定の利益が上がらなければ
元本を取り崩して分配金を支払うことになります。
毎月分配型投信1484本を対象にしたある調査では
2016年10月に買って一年間投信を保有した場合
その8割の投信が
分配金の過半を元本を削って支払う状態になっている!
またそのうち2割の286本が、
分配金の全額を元本から出しているという報告をまとめた。
実に運用益だけで分配金をまかなえているのは
2%の37本に過ぎない。(日経新聞より、QUICK資産運用研究所調べ)
特に昨年末から債券価格の下落(金利は上昇)、米国金利の上昇に伴い
不動産投資の環境としてはマイナス要因が重なり運用難となっている。
こうした投資家の元本を切り崩す状況が続けば
投信としての基準価格は下落を続け
いずれ投信が途中償還を余儀なくされる可能性がある。
そうなればその時の基準価格での償還となり
投資元本を下回る償還金を受取ることになる可能性が高い。
要するにそれまでに
受取った分配金で基準価格の下落分を回収できるかどうか?
がこの手の商品の肝になる。
仮に年利回り20%の分配金で
2年後に基準価格が40%以内の下落で収まれば
利益率が100%以上となる。
もし下落率が40%を超えるようであれば
2年後でも結果的には元本割れとなる。
こうした状況も踏まえて
目先の利益に捉われない堅実な投資判断を持つことが重要です。
またもう一つのデメリットとして
分配型は複利効果を生まないというのがあります。
先ほどの例えとして
老後の生活資金として分配金を充てるのであれば問題はありませんが
30代、40代、50代の投資家であれば
時間を活用できる複利商品を選択するほうが遥かに高い運用効果を得られます。
その為、長期的に資産を増やしていきたい人にとっては
不向きな投資商品と言えるのです。
投資商品にはそれぞれメリットやデメリットといった特徴があります。
これは投資家自身の状況によって
良くも悪くもなるものですから
一概に、よい商品、悪い商品とは言えません。
大切なのは
それぞれの商品の特徴を理解して
自分の資産状況や運用計画に適した方法を選ぶことです。
その為にライフプランを考えることは重要なのです。