☆ハーレム日記リバイバル☆ 第130号 <バリ編>ロブスターディナーとニャンコ
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第百三十号11/24/2001
Harlem日記
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*****<バリ編>ロブスターディナーとニャンコ*****
バリ最終日。朝食後に、海へ行こうとホテルのプールを通りぬけて海に出る。
「キラキラと砂が光ってる。きれいね〜。集めたら銀が採れるんじゃない?」母が砂浜を踏みしめる。
波が高くて泳げそうにないが、サーフィンには格好の海。ホテル周辺のだだっ広い砂浜には私たち家族のみ。私たちが浜辺で写真を撮っていると、パレオを売る女性やマッサージやブレードヘアにしてくれる女性、そして刺青してくれる男性が、にじり寄ってきた。
「マッサージはどう?みつあみもできるよ。爪を塗ろうか?」一人で何役こなすんやねん、このオバちゃんは。
「いらない。」と断る。
「刺青しようか?」日焼けした男前な兄ちゃん。一瞬「太ももにお花を彫ってもらおうか。」という気にさせられた。こんなに男前だったら、刺青プラスアルファーで、たくさん日本の姉さんがこまされてるに違いない。
プールでは泳げない兄に母が泳ぎを指導。いざ兄が泳ぎ出す。ゴボゴボゴボッーと水の音。兄は足がつく場所で溺れていた。
「兄ちゃんマジー?」と母と私で抱え上げる。ゲホゲホッと水を飲んだらしく兄は激しく咳こんだ。
ランチには昨日と同じくピザをオーダー。やはり昨日と同じウエイトレスが運んできてチェックを差し出した。
「あぁ〜そういえば、昨日はルームナンバー間違えたのよ。ごめんね。」とお姉ちゃんに言うと、
「そうそう。」と彼女はハッと気づいたように笑顔をみせた。
「うちのホテルは3階までしかないのに、6って最初に書いてあったから、すぐに間違えてるってわかりましたよ。大丈夫。」と笑いながら続けた。
プールサイドのテーブルでピザを食べ、カクテルを飲む。新鮮なフルーツが豊富なだけあって、フルーツジュースはトロピカルで美味かった。が、マルガリータは今ひとつ。
甘くも酸っぱくもないぜ・・・ジャマイカのビーチで飲んだフローズンマルガリータは美味かったけどなぁ〜。
夕方になり、スリタさんがケチャックダンス鑑賞&ロブスターディナーへといざなう。
「スリタさん、実は昨日ケチャックダンスを観てしまったので、今日はショッピングに連れて行ってください。免税店なんかより地元の人が行くスーパーマーケットがいいな。」と私。海岸に沈む夕日を眺めたい気分だったけど、兄と母のショッピングに渋々つき合うこととなった。
夕方のラッシュの中、ホテルから30分ほどで到着したティアラ・デワタというスーパーマーケット。子供用ゲームセンターもあって地元民のレジャーランドだという。様相はオバちゃんで賑わう浅草の洋品店と生鮮食料品店がドッキングした程度。
子供づれの家族でごった返している。化粧品を売ってる隣に財布や下着が山積み。
衣類が、ところ狭しとハンガーにかけてあれば、スーツやちょっとしたブランド品も売っている。
工芸品も土産物屋で売ってるよりメチャ安い。兄と母はキーホルダーを買いあさった。そしてスーパーではバリ舞踏の女性がパッケージにデザインされてるカシューナッツ・チョコを入手。土産の定番マカダミアナッツ・チョコより5分の1の値段だよ。
スーパーにて1時間が経過、ショッピング嫌いな私は、あまりの人ごみにキレてしまった。
「日本人の土産を買うという習慣をやめてほしいよ、まったく!」と母にあたる。
車に飛び乗り、ロブスターディナーへ。バリ島ラストのシーフードレストランへの期待に胸が高鳴る。屋根があるだけの屋外レストラン。赤白チェックのテーブルクロスもなかなかチャーミング。
四角い芝生の広場の向こうにステージが。またしてもショーがあるのか。と、どこからか、かすかな鳴声が聞こえた。にゃぁ〜〜〜ん。はて、ニャンコ先生登場か?
テーブルクロスの下をのぞくと、わし等の足元にニャンコたちが4匹ほど集まっているじゃないか。
きゃつ等は日本やアメリカの猫よりスリムなシマ猫、トラ猫、白猫だった。
ロブスターが運ばれてくると、ニャンコの声は一層かん高くなる。
「せっかくのロブスターに、インドネシアのスパイス・・・。お母さんやっぱり苦手だわ。」と、ここでも舌鼓はうてなかった。
よってニャンコたちにロブスターをご馳走する。ロブスターの小さな肉片を落とすと両手でキャッチするニャンコ軍団。
「ギャーッ!ちょっと、あんた〜私のジーンズに油汚れの手で・・・シミが〜。」私の太腿に、ニャンコの小さな手の圧力と、油汚れが染みこむ生ぬるい感覚。
ウエイトレスから野良猫と呼ばれながらも、我がもの顔なニャンコたちは、我先にとガツガツ私たち家族のシーフードを平らげた。猫と戯れるうちにステージではショーが始まった。
「ヒロエ、どうやら昨日のレストランで踊ったのと同じダンサーみたい。」と母。
4匹いたはずのカエルのダンサーが2匹しかいないが、残り2人の子供はオフなのか、普段着で舞台のそでにいた。
再び客席にカエルがやってきて握手。そしてダンサーが一緒にダンスしようと勧誘。昨日、一緒にダンスしたお姉ちゃんが私を再びダンスに誘った。
「覚えてる?昨日も一緒に踊ったんだよ。」と私は自分を顔を指差す。
お姉ちゃんは微笑みながら頷いた。お姉ちゃんはウエイトレスに、昨日もどこそこの会場で私と踊ったことをバリ語で説明していた。
「お母さん、今日こそは写真とってよ。」
「ばっちりよ!」と母がカメラを構えた。
いよいよ帰路についた。
バリは、またこの場所へ来たいと思わせるほど心安らぐ場所だった。気候のよさや自然の美しさはもちろん、バリの人々がニューヨークとは対照的でフレンドリーなせいだろう。
彼らの控えめな態度は、初々しい。特に若い女性は、かわいかった。木陰で静かに木の実をかじる小動物みたい。
寝てるときでさえ高いびきをかいてたり、時に
「はっくしょんちくしょう〜」とオヤジなくしゃみをする熊みたいな私とは大違いだ。
バリの女性の笑顔は、今でも目に浮かぶほど爽やかで本当に美しかった。