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☆ハーレム日記リバイバル☆ 第112号 マンハッタンのクルーズ体験
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第百十二号 08/04/2001
Harlem日記
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*****マンハッタンのクルーズ体験*****
タダ飯軍団ならぬタダ乗り軍団へと転身した今回。某日系企業のクルーズに参加したのだった。船は11時にチェルシーピアを出発し、ハドソンリバーを北へ上って折り返し3時くらいに戻ってくる。
乗り場は、隣にブラックの人たちの結婚式と重なったらしく、混雑気味。白いウェディングドレスを着た花嫁さんが大きなクルーザーに乗り込んでいる。う〜む・・・あっちのパーティーの方が面白そう。ワシ等の船は家族連ればかりなんだもの。
船はデッキと、室内が2階に分かれていた。入ってすぐのフロアにあるテーブルは埋りかけていたので、船底の部屋へ行く。落ち着いたブルーの色調のテーブルクロスにグラスや白い皿、そしてナプキンも整えてある。まるで高級レストランみたい!と大興奮。
参加者が少なかったので100人以上は入りそうな部屋に20人程度しかいない。もはや貸切状態で貴族になった気分なのだ。
BGMはR&B系にポップなロック。クラブで回してもいいくらいの腕利きブラックの兄さんDJまでいる。
早速、ラテン系のウェイトレス姉さんがオーダーを聞きにくる。
「ビールとワインはフリーだけど、カクテルは自腹を切ってもらいます。バイキングスタイルの料理は船が出港してからサーブします。」とニコヤカな笑顔。
「暇そうだねぇーこんなに客が少ないと。」と、言いたくなるところをグッとこらえて、
「じゃーまずはビールを。」昼真から無料ビールなんてここは天国?
デッキに出ると、ニューヨークとニュージャージの間を船が走り始める。頬をよぎる海風の涼しさは、海がどんなに昆布茶のような色でも心地よさを満足させてくれる。
いつもは人ごみと蒸し暑さでゴミゴミしているマンハッタンもここから眺めると、博物館で建造物のプラモデルを眺めているように別の世界のもの。
「ここの岸壁がある場所で、よく泳いだものだ。」と某日系企業に勤めるドナルドおじさんが言った。
「えぇーこんな汚い海で泳いでたの?」と驚く私。
「40年前には、決してキレイとは言えないけど、泳げる程度の水だったよ。」
「なるほどー」ドナルドおじさんはアイリッシュ。酒好きらしく、まだ船が走り出したばかりなのに、既に赤い顔をしている。
「飯だぁー飯、飯」と皿を手に、バイキングに突撃。パスタとマカロニ&チーズそしてチキンと白魚。グルメとは言えないが、まずまずな料理だった。品揃えが悪いせいか「寿司はどこだ?」とアメリカンの社員はブーイング。
1時間くらいたつと、ショーが始まった。白人姉さん2人とブラック兄さんが、ニコニコ顔の筋肉を笑顔の形に矯正し、『いかにも』という衣装をまとって歌い踊る。
アメリカンがやってるから派手な雰囲気だけど、はっきり言って鄙びた日本
の温泉宿で行われるショーと大差ない。
とは言っても、かなり楽しめる。なにしろ歌とダンスがうまいのだ。きっとブロードウェイ目指して田舎から出てきた彼らは、大きな舞台に立てる日を夢見ながらダンスしてるのだろうねぇー。彼らの人生を勝手に想像しながら、なぜかセンチメンタル。
懐かしいメドレーでマイケルジャクソンから、マドンナなどのヒットソングを披露する。所狭しと踊り、客席を練り歩く。前の方にいる白人女性は、一緒になって激しく手をたたき踊る。
再びデッキに上るとマンハッタン北、ブロンクスよりもっと上に行ってるらしく、茶色い土壌が剥き出しの島の側面が見えた。緑の木々とのコントラストはチョコレートケーキの切り口みたいに層になっている。
カラオケ大会では、先ほどのドナルドと子供たちと陽気なママが一緒になって歌い踊る。
「ニューヨーク・ニューヨーク」を大声で熱唱。それにしてもテンポが全く合ってないぞドナルド。
隣ではニセ札を渡してカジノを楽しむ人々。私も手にしていた500ドルをプラスチックのコインに換えて、早速バクチ!アメリカンたちは、本物の金じゃないのに慎重に賭けている。
ブラックジャックに挑戦した私は300ドルを賭けて2倍、それが更に2倍。そのままコインを置いて数回やったけど、勝ってばかり。結局5,6人がけのテーブルで一番のお金持ちになった。
あぁー本物の金だったら、今夜は焼肉食べ放題!
マジシャンの兄さんもテーブルを回ってくる。ウサギやハトは出てこないけど、コインやトランプを使ったシンプルなマジックを披露する。
袋入りのシュガーの口を開けて、サラサラと左手に入れたはずなのに消え、その後に右手から皿の上にサラサラと出現。どんなに近くにいてもトリックが見破れない。
船が折り返すと、皆かなり酔っ払ったようで、知らないアメリカンの社員から親しげに話しかけられた。
「サミュエル・アダムス<ビール>は、オレンジのスライスを入れると最高なの。」と隣にいた中年白人女性が言う。
「これでも私、昔はバーテンダーやってたの。」
「へぇーそうなんだぁー。」と、私はオレンジスライスを入れてビールを一口。うまい!確かにオレンジの香りがほんのりと苦いビールと合う。
さて、もう一杯ワインでも。と思ったところで船が到着。船底の部屋は次のパーティーのために元通りキレイに片付いている。そして、フロアでは船中で働く若いラテン系やブラックのウェイトレスやボーイがラテンやサルサを踊っていた。
船で働いていても楽しむことを忘れない彼ら。以前バイトしたことのある日本食レストランのキッチンでラテン音楽の流れるラジオを大音響にして掃除に励んでいたメッキー<メキシカンの方たちを勝手に日本人女性たちはメッキーと称していた。>兄さんたちの楽しそうな姿を思い出した。
『やっぱり夏はラテンの季節なんだなぁー』と国民性で四季を味わうことのできるニューヨークなのであった。
作者より<当時のコメントです>
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とうとうクリントン元大統領がハーレムのオフィスに移ってきた。
「大きな車の中から、ミスター・クリントンが出てきて、セキュリティーガードも彼の突然の行為に慌ててババッと出てきて彼を囲んだの。ミスター・クリントンは乳母車に乗った赤ちゃんを抱きかかえると頬に軽くキスしたのよ。もぅー素的!」と、セレモニーに参加した地元ハーレムのお婆ちゃんが興奮気味に話した。
クリントンの女性人気は人種を問わず凄い。まるで日本の小泉氏のようだ。ちなみにミセス・クリントンのことは嫌いだとか。
夜のセントラルパークを初めてレイ(夫)とサイクリング。9時ぐらいにも、まだ暗がりをジョギングしてる人がいた。
公園の最北端にあるプールは人もいないのに、ナイターの野球場みたいにギラギラした照明で、ぽっかりと浮かび上がっていた。ホタルもスゥーっと光を放つ。静かで涼しくて快適な夜のセントラルパーク。
なんだか、昼間行くのと違って不思議にワクワクしてしまった。だけど日本の公園みたく、あんなことやそんなことをしてるカップルまでは、さすがに居ないらしい。