☆ハーレム日記リバイバル☆ 第103号 ドラッグ・クィーンとは?Luckey Cheng's
■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■
第百三号 06/02/2001
Harlem日記
■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■
*****ドラッグ・クィーンとは?Luckey Cheng's*****
友人Aとラッキー・チェンに行った。この店の名前を口にしようとするたび私の脳内では、お約束のようにジャッキー・チェンやレスリー・チャンなどと
オヤジギャグが走馬灯のように駈け巡り頭蓋骨がカタカタと音をたてる。もちろん、いっさい関係ない。
ここはドラッグ・クィーンがウェイトレスを勤めるレストラン。薬のDrugじゃなく、Drag Queenとは女装した男性。
薄暗い店内は、ピンクや赤のヒラヒラドレスを着たブラックの背の高いウェイトレス。モノトーンのお尻が見えそうなくらい短くてタイトなドレスを身につけセクシーな日本人・アジア系ウェイトレス。
赤いチェック模様の「不思議な国のアリス」系衣装をまとった白人ウェイトレスは、厚化粧で隠しても男がぬけきれていないせいか、まさに季節はずれなハロウィーンパーティー。
私たちのテーブルを担当してくれたのは日本人。声はちょっぴり野太いが、それを除けば完璧な女。髪の毛はツヤツヤしたストレートヘアで長く腰まである。メークも落度ない美人。
おっぱいもデカイ!背も高くてスタイル抜群。くっそー女の私が生きていく価値を失うじゃないか。
彼、いや彼女は相変わらず太い声で「今日のお勧めメニューは、エビが丸ごと入ってる春巻き風アッペタイザーね。ホタテ貝のグラタン風は、マヨの味でしょっぱいから、おつまみには最適よ。」とフレンドリーな笑顔で指し示す。
「一番強い酒は?」と問うと、白と緑の絵の具を水に溶かしたような緑のドロドロしたカクテルを持ってきた。そしてライターで火をつけると炎が宿る。
「うわぁー燃えてるぅー凄いアルコール濃度」それでも「はやく吹き消さなくちゃーせっかくのアルコールがとんじゃう!」と慌てて吹き消す私。
しばらくするとショータイムが始まった。スラリとしたブラックのウェイトレスが赤いランジェリーで登場。客席から白人の女性がイスに座らせられアクロバットのように逆さになったり、
長い脚を大きく開いてパッとすぼめ彼女の首に絡めたり、あげくの果てに大事なところをさすったりというストリップショー風。
マナ板ショーさえ始まるんじゃないかと私はカメラを抱えて舞台のかぶりつき席を陣取り、お姉ちゃんの太腿に喰らいつきそうになった。が、残念ながらそこまではやらなかった。
「うーむ、このステーキこめかみが痛くなるくらい噛みつづけても噛み切れず、なかなか呑みこめない。」とAは目を白黒させる。肉はバーベキューのように真っ黒に焼け焦げてるわりに中は真っ赤。
口にすると、ちょっぴり焦臭い。「バーベキュー気分で食べればOKだよ。」とバーチャルバーベキューを楽しむ。お世辞にも、料理を堪能できるスポットとは言えないレストランである。
ショーはマイクを握った白人ウェイトレスに渡され、くだらないジョークをとばす。「やっぱり、日本のオカマバーの方が数段面白いし、ショーも洗練されてる。」
と私はAにぼやきながら、カルーセル真紀もたびたび訪れるゲイバーのある北九州の歓楽街を懐かしんだ。
しばらくすると、私たちの右隣のテーブルに上品な白髪まじりのゲイカップルがついた。「ここは、とても愉快なんだよ。」と来たことのある一方が静かにパートナーに語りかける。「どういった料理があるのかな?」二人はメニューに目をやる。
ピンクのナプキンをきちんとヒザの上に置いて料理を楽しむゲイのカップルを見てると、高級フランチレストランにいるような気分にさせられる。そんな優雅な時が流れる中、ドヤドヤと左隣のテーブルにやってきたのはレズビアンのグループ。
5カップル10人の団体さんで誕生日パーティーらしい。
席に着くやいなや、彼女たちはカメラのフラッシュをたきまくり撮影開始。イェーイ!とピースサインやら抱き合ってキスでポーズを決めシャッターを押す。
しばらくすると彼女たちの一人が肌色のモノを取り出して、それを手に撮影している。
隣の席から騒ぎに目を凝らすと、紛れもなくその肌色のモノは大人のおもちゃだった。そう、アメリカ版バイブ。拳銃スタイルでON/OFFスイッチが引き金になっている。
キャラキャラと笑いながら咥えたり、頬に近づけたり。アダルトビデオから抜け出たようなムッチリした白人女性のあられも無い姿に唖然とする私とアケピー。
ふと我に返ると『私も仲間に入れて欲しい』くらい妙にワクワク不思議な気分になっていた。「写真を撮ってもいい?」と隣の女の子に聞くと「もちろんOKよ。」
と拳銃スタイルのモノを私の方へ向け「チャーリーズエンジェル」と、はしゃいでいる。
昨今のレズ姉さんたちは「男にモテないからレズに走るんだ」などという考えは、てんで当てはまらない。アイドルっぽいラテン系のグラマーな可愛い女の子にニューヨークのトレンディードラマに出てきそうな細面でセミロングの女の子。
その他、セクシーボンバーが揃っていた。
ゲイが男同士の愛を求めるのと同じく、レズは女同士の愛を大切にする。だから、ここにいる女の子たちはオナベ<男装している女性>のように男になりたい女ではなく、女のままの女なのであった。
私たちは上品なゲイカップルと下品なレズカップルの団体の間というシチュエーションで、さすがニューヨークは凄い!と唸るばかり。<断っておくがレズの女性が、下品だと言ってるのではない>。こうしてゲイであることレズであることを隠すことなく大っぴらに楽しめるニューヨークの余裕は、さすがだ。
ラッキー・チェンというエキセントリックな場所だからこそ、こういう人々にめぐり合える。ともかく一生忘れられない楽しい思い出をつくれる店は、ニューヨークではここかもしれない。
本日ハーレム日記に登場した店
Lucky Cheng's