☆ハーレム日記リバイバル☆ 第102号 セントラルパークでエイズウォークに参加 | NYで生きる!ベイリー弘恵の爆笑コラム

☆ハーレム日記リバイバル☆ 第102号 セントラルパークでエイズウォークに参加

■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■
                    第百ニ号 05/26/2001
                                         Harlem日記
            
■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■

*****セントラルパークでエイズウォークに参加*****

エイズウォークには、友人Aちゃんと二人参加した。エイズで苦しむ人々の為に募金を集める10キロメートルを歩くというイベントだ。9時半くらいにレジスターを済ませるためセントラルパーク入口へ向かう。

5アベニュー付近の入口からビッシリとテントに、受付の人が並んでいる。5分近く歩いても個人参加の札は見つからない。結局グループ以外の人は、どこの受付でも参加の手続きさえ済ませれば、良かったらしい。

「ヒロちゃん、いくら募金する?」参加者も募金を要請される。
「うーん、そうだねぇー皆いくらくらいしてるの?」
「隣の人ととかって、10ドルしかあげてないよ。」


「まぁーいいや25ドル一口みたいに書いてるから25ドルにするよ。」と、滅多
に募金なんてしたことないので相場がわからない。

「25ドルなんて、ちょっぴり太っ腹すぎたかな? 25ドルもあれば、酒が3杯飲
めたじゃないかぁ」などと、後からチチィーンとバーのレジスターの音が勢いよく頭の中でこだまする。ケチな私。

今朝は最高の気分。青い空、鮮やかなグリーンの木々そして、たちこめる馬のウンチの芳しい?

「Aちゃん。何がセントラルパークで許せないかって、この馬のウンチの匂い
だけは・・・。サイクリングでも馬の落し物がある72ストリートから下へは絶対、来ない。」

「私は、子供の頃に馬小屋とか牛小屋とか友人の家にあったりして、よく遊びに行ったから、ぜんぜん平気。むしろ懐かしい匂いに感じるわ。」とシンデレラの馬車みたいな・・・馬に目をやる。

もといニューヨークの馬は、そんな夢のような馬車ではなく、都会生活と過労で疲れきった様子の小汚い馬、真っ白であるべき毛も、ちょっぴり黄ばんだマダラ模様。

尻尾は黄土色になってドロドロ。ハサミでチョキチョキ毛先をカットしてあげたいくらいだ。

馬車を引くオッサンも怪しい笑いを浮かべる。こんなんに乗ってお姫様になった気分が味わえるんかい?

そういえばミッドタウンに住む友人Aの自宅付近を、こいつらが夜中にコツコツと帰宅するらしい。コツコツコツコツ・・・

Aが「私の王子様だ。やっと迎えに来た!」窓へ駆けよる。と、そこにはヨタヨタと過労死しかけたニューヨークの馬と怪しいオッサンの疲れて帰る姿。

さて、スタート地点には4万人がいっせいにスタート。といっても皆ダラダラ歩き出す。ニューヨークマラソンとは雰囲気が違う。鼓笛隊がダカダカダカダカダッダンとステキな行進曲を刻む。

「Aちゃん、朝メシ食ってきた?私食ってきてないから、腹へったよー。」Aちゃんの情報によると、前回参加した時にはキャンディーが貰えたりジュースが
飲み放題だったとか・・・。早くメシ食わせろーと出発早々フラフラした足取りなのだ。

途中ではボランティアが励ましてくれる。「みんなで一斉に騒ごうぜ〜」というと、アメリカ人は、きちんと反応し「イェーイ!」と叫ぶ。それにしてもアジア人参加者は少ない。わりとブラックの比率が高いと感じた。

王冠を被っている人は1000ドル以上寄付を集めた人の証。王様気分で羨ましい。

来年は「ハーレム日記ご一行様」で出て1000ドルを徴収した私が王冠を被るんだ!と夢を描く。

72ストリートの広場からスタートしてセントラルパーク最北端まで辿り着いた時には、少し膝や足首が痛くなってきた。ウエストサイドの公園横を歩いて72ストリートまで再び下る。

またまたボランティアの励まし、黄色い立ち入り禁止の黄色いテープを腰ミノにして即席フラダンスを踊ってみせる太めな中年白人男性。

交通整理をするブラックの警察はブラックの小さな女の子と、ラジカセから流れるヒップホップ音楽に合わせて腰をクニクニ振って踊る。さすがパフォーマーな奴らである。

通りではジュースや果物そしてチーズなどの配給があったが、アイスクリームが配られた時には。皆、まかれた餌ににじり寄る鳩のように、ガツガツと激しくアイスの箱を奪い去った。中には一人で4つも箱を手にする者もいる。持ってかえっても溶けて食えないだろうに・・・。

ようやくゴール。ゴールの証となるシールを貼ってもらう。「えぇーこれだけ?Tシャツとかが記念に貰えるんじゃないの?」と不服なAちゃんと私。テントではブルーのチケットと交換にTシャツを貰ってる人がいる。

「そういえば朝に受付してた時、隣でレジスターしてた兄ちゃんにはブルーのチケット渡してた。」とAちゃん。

「えぇー???じゃぁ私たちの分は受付の兄ちゃんが、ブルーのチケット渡し忘れたのかなぁー。」とテントでTシャツを配る兄さんに問う。

「ちょいとぉーわたし等、寄付したのに、どうしてTシャツが貰えないのさ。」兄ちゃんは領収書をチラリとのぞく。

「君の寄付した25ドルじゃだめで、後125ドル、つまり計150ドルの寄付が必
要なんだ。」えぇーってことは、隣でレジスターしてた若い兄ちゃんは一人で150ドル以上も寄付してたんだ。

と、王冠のみならず寄付の多い人はここでも待遇が上。まっ当たり前か。

ともかく、ニューヨーカーのボランティア精神は感心させられる。電車でも人々が物乞いに、金を渡してる姿を見かける。特にラテン系やブラックの貧しそうな人の方が白人より、金を渡してる姿を見る機会が多い。

未だアジア人が、金を渡してる姿を見たことがない。<そういう私も滅多に渡さないが>

アメリカ人は生まれ育つ段階で、人を助ける精神というものが宗教上から生まれ備わっているんだろう。今の無宗教な日本に必要なのは、英語教育よりも何よりも人を助けようという心の育つ教育なはずだ。

ネットで知り合って殺されたりするという非人道的事件が増えているのは、人間の生命の尊さや、人を思いやる気持ちを子供の頃から培う場所が欠けているからに違いない。

今回エイズウォークで私が学んだものは、4万人もの人が一つの目的で歩くということに対する連帯感と、僅かでも誰かの支えになれる行動ができたという充足感、皆と同時に歩き終えた時の達成感。

この後に飲んだ酒は、いつもより一層美味しく感じた。

 



エイズウォークに関する詳しい過去の記事>>>All About Japanの私の書いた記事より

 

 

 


=======
作者より
=======
ラッキー・チェンというドラッグ・クィーン<女装した男性>がウェイトレスをやってる店に行ってきた。店のショーよりも凄い客がやってきて・・・このお話はまた来週。