☆ハーレム日記リバイバル☆ 第101号 ビバ高齢出産! | NYで生きる!ベイリー弘恵の爆笑コラム

☆ハーレム日記リバイバル☆ 第101号 ビバ高齢出産!

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          第百一号 05/19/2001
             Harlem日記
        
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*****ビバ高齢出産!*****

その日、ブルックリンのベッドフォードからマンハッタンへ戻るはずが、間違えてブルックリンの奥地へ向かう地下鉄に乗ってしまった。

 

ブラックの兄ちゃんも数多く、なんだかハーレムに帰る時と乗客が似通ってきたなぁーなどと思ってたが、かなり行くまで気づかなかった。

車内では、たまにラジカセのボリューム大になり、ラップの音楽が鳴り響く。さすがはブラックの兄ちゃん連中。音楽が鳴っても「うるさい!」などと文句をたれることは無い。ただただリズムに合わせて身体を揺すっているのだ。

隣に座っていたヨレヨレのTシャツでブレードのオヤジも居眠りしてるのかと思ってたら、リズムに合わせて上下に頭が動き出した。カクカクと頭を動かす様はコメツキ・バッタを彷彿とさせる。

 

それにしても手にしてるスキャナーとプリンターのボックスはなぜかオヤジに似合わない。まさか盗んだんじゃないよね。

しかも袋はパステルカラーでBABY・BABYという文字が並ぶベイビー・ショップの袋。ちょっと待ったーどっからどう見ても中身と袋が一致してないぜオヤジー。

次の駅で太ったラテン系の50代前半くらいの女性が3歳くらいの坊やを右手で引いて、左手に乳母車を押して乗ってきた。隣の上下運動のオヤジは席を立つと「マミーどうぞ、ここへ座ってください。」と席を譲った。

親切なのだ。その上オヤジは前歯が二本も折れているせいか憎めないスマイル。


席に着いたラテン系の女性とオヤジは、お約束のように大声で世間話を始めた。

「26年ぶりに生まれたの。」というオバちゃんの言葉が私の耳をピクリと動かした。なぬっ?オバちゃんの子供かい。「娘は今、29歳なのよ。」なんだー聞き間違えかぁーやっぱり娘の子だよね。

 

ほーっと安楽の地へ誘われる、それでもやっぱり気になるオバちゃんの喋り。

ガーッハッハッと豪快に笑いながら「先月ママが亡くなって、今月、亭主の叔母が亡くなって、とにかくここ最近で5人も身内が亡くなったの。」身内が死んどるのに何で笑っとるんじゃい。

電車の揺れる轟音で聞き取りにくいのだが、それでもしつこく話しぶりを聞いてると、やっぱり坊やはオバちゃんの子らしい。

そんな中に突然、ドアを挟んで隣の席に座る乳母車に乗ったブラックの2歳くらいの女の子が奇声を発した。「ベイビー・ベイビーの袋だぁ〜わたちもほちぃー」と、スキッ歯のオヤジのスキャナーが入ったベイビー・ショップの袋を指差す。

「あれは、おじちゃんのモノよ!」若い母が説明する。オヤジは再びニコヤカなスマイルで若い母に問いかける「お子さんはいくつ?」「2歳なの」若い母も大声で答える。

するとラテン系の坊やが女の子にオモチャを見せた「これはどう?」女の子は目を丸くして欲しそうに手を伸ばした。坊やは右に左に揺れる車内を女の子の方へ向かって歩いてく。さすがラテン系、子供の頃から女に抜かりない。

その姿を、目を細くして見守るラテン母。とにかく坊やが可愛くてしょうがないといった雰囲気だ。20歳くらいで前の子を産んだとして29歳なら、どう考えても50歳は近いはず。

最近、友人と「日本は高齢出産を敬遠するけど、アメリカでは生理さえある限りは何歳でもOKって感じじゃない?アメリカはやっぱり医療技術が進んでるんだよ。」と話していたばかりだったので、オバちゃんを見て納得させられた。

ビバ高齢出産!オバちゃんのタフな姿を見ていると、私も高齢出産しても大丈夫なように身体を鍛えておかなくちゃーと改めて覚悟をきめる。しかし、タフなオバちゃんだった。はちきれんばかりの満面の笑顔とパワーを感じる太い腕。

こんな母に育てられるからこそラテン系ってパワフルなのだろう。



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作者より
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な・な・なんと〜近所のレストランをCafeglobe.com用にカメラマンの夏子さんと取材中、アル・シャープトン様に遭遇してしまった。アル・シャープトン様といえばブラックなら誰もが知ってる黒人運動家である。

レイ(夫)も前日に「アルはマイ・メェーン!だ。(奴は男の中の男だぜ)」と豪語していたばかり。派手なパフォーマンスに近いほどの様々な反対運動をひき起こしたりするから、ポリスが出る一幕などもあったりする。

 

その向うみずさ加減がカッコいいのだという。

彼が入ってきた瞬間、目を疑った。「よくできた着ぐるみだ。」と感心していた私。
 

オモチャのようにトコトコと歩いてテーブルにつく彼の姿は、失礼かもしれないが「かわいい!」とギューッと抱きしめて、枕の横に置いてあるテディー・ベア同様に添い寝したいほどであった。

彼の目は丸く輝いていて、ひたむきな情熱がヒシヒシと伝わってくる。私は興奮で震える足どりで近づいて「日本のライターなんですが、握手してください。」と強引に握手をせがんだ。硬い握手だが、彼の手のひらは厚くフワフワしていた。

図々しくも手にしていたデジカメで「一枚、写真を撮らせてください。」と、お願いしたら、ちょっと考えてから「OK」と頷いた。

 

写真を撮った後、私は隣にいる若い男性と女性秘書みたいな人の顔を見て「感激ですぅー」といわんばかりの満面の笑みを浮かべてしまった。ただのミーハーなパープリンばばぁ状態であった。
 

※なんとアル・シャープトン様がNY市長エリック・アダムスのキリスト教の洗礼にライカーズアイランドで立ち会ったというニュースを発見!

 

 

ライカーズアイランドといえば、NY市の刑務所がある場所。受刑者たちとNY市長が交流と同時に洗礼を受けたという。同じ目線に立てるNY市長は珍しい。それに立ち会うアル・シャープトン様もさすがだ。