☆ハーレム日記リバイバル☆ 第94号さすらいのバーカウンター編 第二弾 怪しいネットワークアドミ
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第九十四号 04/11/2001
Harlem日記
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〜☆〜☆〜☆〜さすらいのバーカウンター編 第二弾〜☆〜☆〜☆〜
*****怪しいネットワークアドミニストレーター*****
いつものようにスポーツクラブを終えて、帰宅途中に一杯飲んで帰ろうとグランドセントラルステーションにあるトゥー・ブーツ<閉店>に寄った。
ここは元来ピザ屋なんだけど、バー・カウンターもあって、軽く酒が飲める。ここのバーテンダーのオヤジは25年のキャリアの持ち主。
オヤジは無気力に銀色のシェーカーを横方向へシェークしてマティーニを一杯つくってくれた。確かマティーニってステアするんじゃなかったっけ?まったくアメリカンなバーテンダーだ。
しばらくすると、隣に座ってきたのは白人の男性二人、だが私の隣には1つしか席が空いてなかったので別の席に移動しちまった。そして、入れ替わりに座ったのがブラックのオヤジ。
くたびれたペパーミントグリーンのシャツはカビの色、モスグリーンへと化している。顔はドラマ「踊る大走査線」の湾岸警察署の刑事課長役、小野武彦さんにクリソツ。
新聞片手にピザをぱくつきながら、グラスに注がれたウォッカをあおる。
オヤジは私のグラスを見て2杯目は「同じものを」と、たいていは自分が飲んでるものと「同じものを」のはずが、私が飲んでるものと同じものをオーダーしやがった。それがきっかけで話し始めた。
以下は、会話の抜粋。
「僕は、アメリカン・バンクでネットワークアドミニストレーターをやってるんだ。」なぬ?どこかで聞いたことあるぞ。
「夫も同じ職業です。じゃぁかなり稼ぐんでしょう?」
「そうだね。僕はボスだから。世界中のネットワークをとりしきってるんだ。日本に行ってる部下もいるよ。」
「大学の頃からコンピューターを専攻されてたの?」
「僕等の時代にはコンピューターのクラスなんてなかった。仕事をしていくうちにコンピューターの必要性に駆られて自分で学んでるうちに、ここまでエキスパートになったんだ。」
「それは凄いですね。」
「シスコのラウターのコンフィギュレーションなんかもやってる。」
「サーバーは何を使ってるんですか?」
「ユニックスだよ。」
彼は、ロングアイランドで生まれ、現在は奥さんと共にウエストチェスター在住だという。子供二人はベビーシッターに預けている。
「僕は、これからメトロノースに乗って帰るんだけど、君も125丁目までなら僕がチケット買ってやるから、一緒に電車で帰ろうよ。地下鉄よりも、格別に速い。」
「では、お言葉に甘えて。」とホームへ。太った白人女性が一人座ってる5人がけの席に二人向かい合わせで座る。車掌の兄さんがチャキチャキと軽快な音を立てて切符を回収している。オヤジは、ちょっぴりオドオドした目で兄さんの姿を追った。
なぜにぃー?<フリオ・イグレシャスのナタリー風にどうぞ>
オヤジが財布の奥底から取り出したのは、くたびれた回数券と私のための5ドル札。それを受け取った車掌の兄さんは「お客様の分の5ドルも必要です。」と、すかさず言った。
オヤジは渋々5ドル追加する。「そんなに高いのか?」オヤジが軽く文句つけると兄さん、
「お客様の125丁目までの回数券は、既に有効期限が切れております。」
おいおい、オッサン125丁目に住んどるんやないけぃー。あっしを騙そうったってーそうは問屋が卸さないぜ。
オヤジは、ばつが悪そうに喋りまくった。
「5ドルは高いよな。まったく・・・どうなってんだか。」オッサン、ウエストチェスターまでは、随分前から5ドル徴収されてるぜ。
とオッサンの喋りを、うわの空で聞いていた私は125丁目で、そそくさとオヤジ残して下車。
私たちが乗ったのはエクスプレスだったから、次の停車は125丁目から20分ほどかかるウエストチェスター。オヤジは、そのまま電車に揺られて行っちまった。その後、折り返しのチケットを買って125丁目に戻ったに違いない。
まったく、自分を演出するためにコンピューター用語だけは熟知してるオヤジが出没するとは、けったいな世の中だ。
※今は、ProvaというPizza屋になってるようだ。バーもまだある。きっと高いだろうから、行かないけど。
最近のトレンドは、フードコートみたいな店のビールを飲むビジネスマンが増えている。昔は、ビルの1階にバーがあって、そういうちょっと高級なバーへ行く人がいたけど、高すぎるからか、あまり皆が行かなくなった気がする。
こういうところとかが流行っている。