☆ハーレム日記リバイバル☆ 第93-2号 BAZAARニューヨーク特集号 | NYで生きる!ベイリー弘恵の爆笑コラム

☆ハーレム日記リバイバル☆ 第93-2号 BAZAARニューヨーク特集号

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          第九十三号 03/31/2001
              Harlem日記
           
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*****BAZAARニューヨーク特集号*****

BAZAARのニューヨーク特集5月号が発売され、その記事の纏め役を勤めた伊藤操さんと同誌にも登場したメークアップアーティスト吉村綾子さんが紀伊国屋書店にて講演を行った。

ニューヨークコレクションのスライドを見ながら今年の流行は、ミリタリー風で強い女をイメージしてメークも目元にポイントを置いたものが多いといった解説をしてくれる。

わざとビンテージに仕上げたレザージャケットなども多く登場したそうだ。

吉村さんは、アカデミー授賞式の際には女優ウィノナ・ライダーやヒラリー・スワンクのメークも手がける達人。ご本人もメークは落度なく、流れる石と書いて「さすが!」と唸る東洋人の美しさ。

墨絵で掛軸にして飾ってしまいたいほどだ。

質問コーナーで積極的に手をあげた私は、本当は吉村さんに「コレクションでモデルを塗ったくったギャラはいくらなのですか?」と質問したかったのだが、それではとっても失礼なので、

「モデルさんをメークするのに時間はどの位かかるのですか?」と質問。

「ヘアーさんとモデルを奪い合いになるくらいの凄まじい舞台裏。20分くらいで一人のメークを仕上げます。」ということだった。最近はウェットティッシュ系のメーク落しがあるから、かなり楽になったとも言っておった。

講演終了後、操さんが日本へBAZAARの編集長となるために帰国することから、関係者によるパーティーが開催されるという。ライターのE師匠と私は、躊躇しながらも<私は当然イケイケだったが>、パーティーに参加することとなった。

Dish of Saltというチャイニーズレストラン。かなりお洒落で高級感漂う会場にはダンディーが服を着て歩いてるような売れっ子フォトグラファーやら、マンハッタンの高層ビルの一室で、夜景を見ながらけだるそうにタバコを吹かすのが似合いそうなカッコいいライターの女性を中心に50人近く集まっている。

その他、講談社や共同通信やらのニューヨーク支店の編集長、その上ダナ・キャランを創った男・滝富夫さんなどと豪華キャスト。

突然参加したワシはE師匠から、おはよう子供ショーのムックみたいだと後ろ
指をさされる着ぐるみのような素材のオレンジなトレーナーにスニーカーと、チャイニーズのデリバリーの兄ちゃんみたいな姿なのだ。

バー・カウンターから早速、離れない私は「ねぇーボンベイ・サファイアはオーダーできないの?」と数杯飲んだ後チャイニーズのバーテンダーにしつこくおねだり。しかし、この酒は料金が高いのでバッフェスタイルの食事にはオアズケ。

「飲み放題は安酒のみだとぉー?そりゃー私のような大酒のみがいれば、採算が合わないかもしれん。だけどぉーよー一杯ぐらいいいじゃないかぁー」と粘る。

その姿はまるで、ギャンブルで有り金全てスッて一升瓶を片手に鼻の頭を赤くして憤るオヤジだった。

さておき、テーブルに座った際にも若い兄ちゃんをおびき寄せる。ハーレム在住者らしく逆ハーレムなバーチャル世界を現実のものとするのに一分とかからなかった。とにかく若手3人のフォトグラファーは男前な日本人男児。

「美味しそうだー。」と口走ったのは、チャイニーズフードではなく兄さんたちにむけて放った言葉だったことは付け加えておく。

が、しかし、BUT、隣のテーブルに座っていた場違いな雰囲気<人のことは言えんが>で、レッドスネークカモ〜ンのゼンジー北京さんを彷彿とさせる男性が、笹に巻かれたチマキをパンダのように、がっついていた。

彼は、ネットワークアドミニストレータ−で、プライベートに操さんのHPづく
りを手伝っているのだという。男前よりもコンピューターに軍配があがるのは早かった。

ゼンジー氏の隣に喰らいつき、「サイトを数人のライターで運営する予定だけど、サーバーは自分の家で持つべきかスペースをレンタルすべきか。」といった話題で盛り上がる。

もうライターな皆さんとは別の世界、ITなオーラでバリアを築いていた。

そうこうしてる内、パーティーも終盤に近づく。先ほどのカッコいい女性ライターが操さんに向けて詩を朗読。彼女が自分の居場所を確立するまでニューヨークで頑張ってきた生き様を綴っていた。

数人のライターは「いい詩だったわねぇー。涙しそうになったわ。」と感銘している。

だが残念ながら私には共感できなかった。貧乏が故、サンクスギビングの日に粥をすすって生活しようとも、イーストビレッジの地下室で楽しく暮らしていた御気楽人間な私と「彼女の詩」は縁遠い世界だと感じたせいだ。

彼女は、私なんかには、とうてい理解できない高貴なるプライドと確固たるスタイルと複雑なる精神構造を持ち合わせているようだ。脳天気な私は決してカッコいい種類の人間に溶け込むことができない。

「同じライターという職業であってもカッコいい自分になれる人が羨ましい。」

とE師匠にぼやくと「大将は、そのオヤジっぽい自分らしさが売りなんだよ。」と励まされた。

あーあーいつになったら、米つきバッタのようにペコペコしないで暮らせるくらいくらい売れっ子になれる日がくるのだろう。だけど、おそらく売れっ子になってもパーティーは居酒屋「りき」で行う予定だ。

 

2次会は勿論ウサギちゃんが行き交うバーで!

※ウサギちゃんはいないが、うさぎという銀座の高級クラブのようなピアノバーはいまだNYにある。この店を支える日本人がいることは大切だと思う。

<閉店>DISH OF SALT
133 West 47St <bet6-7Ave>
212-921-4242

オーナーのご主人は、アーティスト。壁に飾ってある斬新なアクリルで描かれたビビッドなカラーの大きな絵は圧巻。全てアンディー・ウォーホール風なタッチだ。