☆ハーレム日記リバイバル☆ 第75-2号 同窓生 | NYで生きる!ベイリー弘恵の爆笑コラム

☆ハーレム日記リバイバル☆ 第75-2号 同窓生

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                                         第七十五号 11/25/2000
                                            Harlem日記
            
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*****同窓生*****

レイ(夫)の大学時代の友人デーブとイスラエルと私の4人でユニオンスクエアにて夕食。デーブはGMで営業をやっているコテコテのブラック兄さん。

いつも冗談ばかりいっている。「じゃー9時にユニオンスクエアのバージンレコードの前で。」とデーブに電話中のレイが大笑い。
 

「レイ!電話切ったら、すぐに鼻の頭にパウダーつけ始めなきゃ間に合わないぞ。」と電話のむこうでデーブ言ったそうだ。

いつもはノロノロしてるレイが時間を気にしてるので不思議に思っていると、彼等二人はオンタイム。寒空の下バージンレコードの前に立っていた。デーブはボールドヘア(坊主頭)なのに帽子も被ってない。

 

イスラエルはブルーのフットボールブルゾンを着たポテポテの大きな腹(別に妊娠してるわけではない)が印象的。今回、私はイスラエルと初対面だ。

 

アメリカンな明るくてフレンドリーなステレオタイプからは、向井さん乗船のスペースシャトルで行ける距離よりも遥か遠い宇宙の果てまで遠ざかったオタクな雰囲気の白人兄さん。

「どこか知ってるレストランは?」と聞くので
「タイ料理にインド料理そしてベトナム料理にイタリアにメキシカンと美味しい店が揃ってるよ。」と私が3人を先導。しかし、お勧めレストラン全て大入り満員だった。


「寒いよー。歩きたくないよー。お腹すいたよー」と三拍子で歩き始めた奴等は、「どこでもよい!」と怪しい日本食レストランへ突入するのだった。

案の定、チャイニーズによるバーチャル日本食レストラン。

「日本食っていっても、ここはチャイニーズが経営だからさー本物じゃないよ。」と私が声をあげると、
「店の者に失礼だから、そんな事を言うんじゃない。」とレイに叱られる。


「GYUDONって書いてるけど、これなら君たちも食べれるよ。」と私はチャイニーズが作った日本食とアメリカンの味細胞が感知できるレベルという相互のキャパを天秤にかけて、無難な味であると予想される牛丼を指す。
 

「じゃーそれにしよう。」とデーブとレイ。
「イスラエルは日本食って食べたことあるの?」と聞くと、
「初めてだよ。」と言う。


「じゃあ寿司は、やめといたほうがいいと思う。」ここで寿司の味の記憶を埋め込まれては彼の今後の日本食人生に支障をきたすので、すかさず助言。

そうこうしてるとチャキチャキしたチャイニーズというよりもフィリピーノ風ウェイトレスが注文をとりにくる。


「はい!レディーからどうぞ。」と私がノロノロしていると、デーブの注文から聞きはじめた。デーブは牛丼の他に、チキン焼きうどんもオーダーしていた。


続いて、牛焼きうどんをオーダーするイスラエル。牛丼は、まぁまぁ食べられる味。焼きうどんはチャイニーズのローメン!

まんまだった。


「ねーイスラエル。これってチャイニーズのローメンと味が同じじゃない?」と私が言うと、さっきまで箸の使い方をデーブに説明していたイスラエルは注意深く小さな牛肉の塊を一つ一つ摘みながら、「そうだね。」と頷く。

食事の間は記事を書くネタの為に彼らには申し訳ないが、仕事の話になった。
「ねーイスラエルは何の仕事してるの?」私はイスラエルに問う。
「ネットワーク・アドミニストレーター。」


「えー?じゃあレイと専攻は同じなの?エレクトリック・エンジニアリングだっけ?」
「サイコロジー(心理学)」
「サイコロジーからITっていうのも珍しいね。」と私。


「まぁー今はコンピューターの知識さえあればメジャーは関係ないよ。」とデーブ。
「デーブは営業だけど、営業のほかに何かビジネスを始めるとかさー予定はあるの?」


「食事の後からビリヤードに行くために、ビリヤードのTシャツまで着てきた。」と黒いTシャツに胸に小さなビリヤードのロゴを見せる。


「それと何の関連が?」
「ビリヤードのできるファンシーなレストラン経営をはじめるのさ。」デーブが語る。


「ヤッピーを集めてね。」
「ヤッピー?あーヤングリッチな人たちの事ね。」
 

「やっぱり時代はビジネスだよね。私も起業が夢なの。」と私は続けた。

食事も終盤にさしかかる。私は無難にカリフォルニアロールやエビなど日本のコンビニ系寿司を食べたのだが、一つだけ生ものにチャレンジしたヒラメは、思ったとおり魚臭かった。


食べ終わるとチャキチャキウェイトレスが片付けをはじめた。
「あら?まだ食べ終わってないのね。」とデーブが食べ残したチキン焼きうどんをイスラエルがまだ箸を運んでいる残り少ない牛焼きうどんと取り替える。


「私は、人の思ってることが読めるのよ。」と、ウェイトレスは真顔で勝手なことを口走るのだった。だけど何故か憎めない彼女。

 

「ありがとう、はいはい、よろしく。」などと知っている日本語を、私が日本人だと知ってか知らずか言いまくってキッチンに消えていった。


ウェイトレスの強引な行動にイスラエルは黙って従い、チキン焼きうどんに箸を運ぶ。

デーブとレイは笑いながら頭をひねっていた。ウェイトレスが面白かったからと彼等はチップをはずみ「さて、じゃービリヤードに行くとするか。」と再び寒い外へ出た。

どこで撮影したのか記憶にないが、2000年に撮った写真。



―次回ビリヤード編に続く