日本が舞台の映画なのになぜ主演が白人女性なのか | NYで生きる!ベイリー弘恵の爆笑コラム

日本が舞台の映画なのになぜ主演が白人女性なのか

ゴースト・イン・ザ・シェル、日本のアニメ「攻殻機動隊」を子供たちと観てきた。映画館は日曜のお昼すぎだったからか映画館そのものがガラガラ。ゴースト・イン・ザ・シェルはPG13(13歳未満は保護者の強い同意が必要)だったから、子供たちはまずいないし、ティーンの子たちは夜から入るのらしい。

 

デニスはポップコーンとアイスになってるソーダを買って「13ドルもした」と、小遣いで買わせたのでぼやきながらの入場。CMでエイリアンが流れ、エイリアンがドッヒャーンと出てくるシーンでデニスが悲鳴をあげた。「デニスだけだよ、大声あげてたの」とアヤから突かれていた。とはいえ周りにいる人たちは数えられるくらいの人数、私たちのほかに10人いないくらいだった。

 

ほぼ貸し切り状態で映画ははじまった。ビートたけしのセリフはすべて日本語で、英語のテロップ。カッコいい~~~!たけしが日本語のアクセントある英語で話すなんて、見たくなかったもの。堂々と日本語でやってるところが未来の世界なんだから、それでいいしカッコいいって思った。

桃井かおりの英語は「日本語のアクセントがあるね」と子供たちが後から言っていた。「そりゃーそうだよ、日本人だもの。何が問題でも?ちゃんと聞き取れたでしょ」と私。彼女まで映画の中で日本語っていうのは、さすがにないかなって思うので、これはこれでよしとして。私にとってはかなり楽しめる映画であった。って途中、寝ちゃってたけど。。。

レイは、映画を観に行かなかったのだけど。後からの話で、

「スカーレット・ヨハンソンが主役だなんて、原作は日本だし、舞台は日本なんだからおかしいだろ?」とレイが言い出した。たしかにそういう意見も攻殻機動隊ファンにはアメリカでもあった。しかし、「日本人のキャストが主役だとして、誰が観に来るの?」って私。

 

実際、映画の内容はさておき、アメリカではスカーレット・ヨハンソンのファンだからって、映画を観に行く人も多いわけである。攻殻機動隊は、私もここ最近まで知らなかった。アニメのDVDをオフィスにて貸してくれる人がいたから知ったようなものの。

 

どんな内容なのかまったくわからない映画を、アジア人のまったくわからない女優が主役だとすれば、誰が観に行くだろうか。おそらく日本で知名度の高い女優、たとえば石原さとみが演じたとしても、実際問題、アメリカだけでなく、日本以外のアジアの国でも石原さとみ主演で集客するのは無理だ。

と言っても、レイは「だからアジア人のスターがハリウッドで生まれてこないんだよ」って反論してきた。「だったら日本の女優で誰ならば演じられたの?」って聞き返すと、「誰?て誰がいるかは知らないけど、ヒロエはいつも日本のドラマを見てるんだから、適役を知ってるだろう?」「適役がいたとして、あなただって知らないアジア人の女優が主演してる映画を観に行くわけ?」「・・・・・」結局どちらにしても、行かないわけだ。
 

なにより私が残念に思ったのは、トグサを演じたのが、シンガポール出身の俳優チン・ハン。。。これはないでしょ。トグサやるなら、玉山鉄二あたりがよかったんじゃない?って個人的に思うのだけど。まったくイメージにあわない俳優で、「キャスティングした奴は誰だ~~~!」って怒鳴りたくなった。

 

いつもは愉快なキャラのロボットであるタチコマが、ただの破壊兵器としてしか描かれていないのも残念だったし。笑えるシーンがたくさんあるアニメなのに、全編通してシリアスに描かれているところもダメだった。ハリウッド映画ならばハリウッド映画らしく、ジョークとかも入ってるのかと思ってたのに。。。ここまでシリアスな映画にしないでほしかった。まースピルバーグが監督やらなかったことだけは救いだったけど。

Matrixの監督も攻殻機動隊に影響をうけてたらしいから、ルパート・サンダース(イギリス人)監督は、そんな風にシリアスなSF映画にしたかったのかなぁ~。