きっとまだ誰にも知られてなくて
二人で創っていくはずだったのに
いつしか独りになっていた
僕たちが見た自由は
きっとまだ自由になりきれてなくて
二人で解いていくはずだったのに
いつしか君を置き去りにした
どうしてこんなに不自由で
どうしてこんなにつらいのに
僕たちはここにいるんだろう
僕たちはずっと
ここにいなきゃいけないんだろう
君のヒステリックに
耳が痛くなる
高い高い叫び声が
まだ耳から消えなくて
「全部あなたのせいなのよ!」
「どうして私ばっかりなの!」
「いっつも我慢してるのに!」
「いなくなればいいのに」
「どうして生まれてきたの」
「どうして・・!」
君のヒステリックに
僕は声を失う
ごめんね、ごめんね、ごめんね
何度も言った言葉は
余計に君の声を高くする
それがわかっているのに
僕はこの言葉以外知らない
「ごめんなさい。」
「許して」
「もうしません」
「ゴメンナサイ」
君のヒステリックに
あふれだしてしまいそうな
涙を何度も上を向いて止める
泣いたら
余計に酷くなる
僕はそれを知っているから
君のヒステリックを
終わらせてあげたかったから
僕は居なくなろうと思う
君の前から
誰かの前から
人の前から
他人の前から
僕の前から
「あなたなんて、産まなきゃよかった」
なんて
言わせたくて生まれたんじゃない。
僕はまだ子供だから
君の苦労に気付かないフリをする
僕はまだ子供だから
君の笑顔が偽物だって知らないフリをする
僕はまだ子供だから
僕の為に泣く君なんて見てないフリをする
僕はまだ
子供だから
君が他の男に笑いかけるのに
イライラして怒鳴ってしまう
僕は
まだ
子供だから
いつまで経っても、どれだけ経っても
僕は多分子供だから
ありがとうさえも、素直に言えない。
君は昔から
キラキラと光るものと
魔方陣が大好きだった
僕は昔から
真っ暗な場所と
静かな時が好きだった
僕にとって君は太陽で
君にとって僕はガラクタで
お互いがお互いを拒んでいた
ある日
君が僕の所にやってきた
「私、魔法が使えるの」
嬉しそうな君の笑顔が
僕には悪魔のほほ笑みのように見えて
早く終わらせたくて君に言った
「じゃあ、見せてよ」
行くよ!とニコニコ笑いながら
君は訳のわからない呪文を唱える
10分経っても、20分経っても
何も起こらない
僕はため息混じりに君に言った
「今日は、調子が悪いんじゃないの」
君はジーと僕の方を見て
「そうかも!」と、また笑って
また今度見せてあげる、と去って行った
それから
次の日も
その次の日も
毎日僕の部屋で挑戦するようになった
今日もダメ、昨日もダメ
それでも毎日やってくる君
嫌いだった君の笑顔は絶えず僕に降り注ぎ
キラキラとしたアクセサリーがゆらゆら揺れる
いつからだろう
不快に思わなくなったのは
きっかけは君がくれたから
教えてあげた僕の言葉
「見えたよ、魔方陣。」
いつの間にか僕は笑ってて
「魔法は成功した?」と君が聞く
僕は少し考えて
「さあ。」と答えたら
初めてだった、と君が語りだす
「馬鹿にしなかったのが珍しかった
今日は調子悪いんじゃないのと言う言葉が嬉しかった
私に何度も、チャンスをくれたの」
君のキラキラとした恋の魔方陣が僕には見えて
僕の真っ暗な世界は光り輝いた
君は魔法が使えるようになったよ
僕だけに効く魔法
僕が笑顔になれる魔法。
携帯電話が鳴り響く
着信音でわかる
君からの着信
でなかったのは
浮気してるからじゃない
でなかったのは
仕事中だからじゃない
ただ
言われることがわかっていたから
「今、何してるの?」
その言葉が
僕は嫌いだ。
切れた手から指先へ流れ落ちる
君の涙と僕の血液
やっと奪い取ったカッターには
君の想いが詰まりすぎてて
今にも折れそうで
今にも割れそうで
わかってあげられなかったと
必死の謝罪の前に
119
119
君の心と
僕の手に
君は重いね
でもそんな君を好きになった
きちんと背負うはずだったけど
たまに無性に嫌いになる
君の性格
動かなくなった僕の手を見て
何針も縫った傷跡を見て
君は笑う
「ここに、私が居る」と
今日も、君は笑う。