ダーリャは、貧しい農家に生まれた。
学校へ通うより、家業を手伝わなければならないという日々を送っていたが、生活が楽になることはなかった。
そんなある日、数年前に家を出たと聞いていた、同じく農家出身の近所のお姉さんが、里帰りしたという噂を耳にする。
そして、ここに住む人々が一生かかっても手に入れることができないような、高価な衣装を身につけているのを目にした--羽振りもよく、家族に様々な贈り物をしたうえ、生活費も渡している。
驚くダーリャに母は、彼女が都会で親切な人に助けられ、その人の援助を得ながら暮らしているらしいことを話す--お姉さんが家を出て向かった先が、帝都ペテルブルクだったことも--
ダーリャは、苦しい生活から抜け出すため、反対する母を振り切り、ひとり帝都へ旅立った--3年前、16歳の時、お姉さんに書いてもらった、帝都での働き口への紹介状を手に・・・
母も最終的には、娘の好きなようにさせることを決意、自ら旅費の工面もし、駅まで見送ってくれた。
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夢のような都会に着き、お姉さんが働いていたお店--古い居酒屋だった--で、忙しい日々を過ごすダーリャ。
そこには頻繁に政治家や、富豪などが訪れる。
しかし、いつまでたっても『親切な人』が、彼女の前に現れることはなかった。
期待は徐々にしぼんでいき、年を経る毎に、母や郷里を恋しく思う気持ちの方は増していく--
そんなある日、身なりの良いひとりの男性がふらりと店にやってくる。
ただしその人は、今まで見てきた年配の紳士達とは違う、すっきりとした顔立ちの青年だった・・・


