マサが足しげく通っていた芝居小屋は、見物料が
安く、庶民が支払える程度の額で観ることができた。
観客もほとんどが貧しい庶民達だったが、そんな
彼らに混じって、身なりだけで、すぐに上流階級と
判るマサが、何故こんな丸太を組んだだけの掘っ
立て小屋に通い詰めるのか--彼らは訝った。
が、身なりの好い少年の噂が広まると、瞬く間に
その素性が明らかになる。
--彼は、その名を知らぬ者がないほど由緒
ある家系の子息だった・・
住む世界の違う御曹子なら、貧しい庶民の
ためにあるような小屋掛け芝居を、わざわざ
観に来なくても、格式の高い 大芝居 を、
それも一番上等な桟敷席で観ることができる
のに・・!
驚くと共に、不思議がる観客達を尻目に、
マサはそんな彼らの視線や思惑を気に
するそぶりもなく、かといって、偉ぶる
わけでもない、そもそも、そんな目で
見られていることにすら気づいていな
かった--


