ドラマがコメディー要素を併せ持って作られているせいか、
(これが特異な設定や、さらに可能性の限りなく薄い恋に堕ちた
同性愛者の深刻な悩みを中和していたので、ありがた?かった)
俳優陣のテンポよすぎる会話にも感心しつつ、かなり笑わせられた。
一方、異性愛者に恋した同性愛者(林遣都演じる牧)の悩みは
少数派としての引け目感満載、そして深刻で、それが際立った。
牧の視線は不安になると泳ぎ、積極的に春田(田中圭演じる
異性愛者)に迫るものの、常に別れが念頭にある。
その、いつでも身を引かねばならないという 宿命感 漂う
牧の悲愴な気持ちが視聴者に伝わり、彼を応援したいという
気にさせる。
彼が映画『バッテリー』でデビューした頃から知ってはいたが、
特に出演作を丹念に観ることはなかった。
昨年まで放送されていた『精霊の守り人』の、シュガ役で久々に
観たぐらいだが、脇役なのに、なんて演技が上手いんだろう
と唸ったことは覚えている。
このOLドラマには、秘策のようなものがあって--それは視聴後
知ったのだが、知る前でも『これはすごい!』と驚いた部分が
第6話、牧が春田に涙ながらに、ついに別れを告げてしまうシーン。
本心は絶対別れたくないと思っているのに、その気持ちを必死に
隠し、春田のことなんか好きじゃないから別れてくれと---
ぼろぼろ泣いているんだから、好きじゃないわけないじゃん!
とツッコミたいところなのに、春田まで、というか春田の方が
めっぽう先に泣いてて・・
これだけでも、フツーに演じている感じとはまったく違う本気感
満載で、台詞を台本通りに言わなければならない使命があるにも
かかわらず、感情が溢れて涙が止まらず、台詞が言えず、云おうと
しても言えない無言の数秒があって--確実に常識的には言い
終えていなければいけない間合いまで言葉が出なくて、やっと
絞り出すように口を開いた。
その時すでに、春田も顔中ぐしゃぐしゃで、視聴者の私ももらい
泣き・・・
後で調べてみると、このシーンは本番前から長回し?カメラを止めず
に撮ると決まっていたそうだ。
カット後、撮影していたスタッフも全員泣いてたそうだが・・・これは
牧の切ない気持ちがすごく伝わってきたからだと思うし、一方で
プロが作ったシーンとしては失格かもしれない。けれど、現実は
それが正解だと納得したから、スタッフも我が事のように感情を
揺さぶられ、視聴者側にも届いたのだと思う。
様々なところにも書かれているが、このドラマの肝は、やはり
牧の存在(林遣都の演技)
にあると思う。
毎回毎回、あんなに切ない瞳(目が大きいしキレイ)を見せられたら
好きにならずにいられない。
牧ロスと言われる由縁は、林遣都と牧をどうしても同一視してしまう
からだろう。
演技ヘタでは、決して起こらない現象だ。
みんな、OLの牧が好きなんです・・
↓ヤバすぎる・・
まだ続くかな???




