幕末を駆けた青年(12) 適材適所 | 前世の記憶 ~Past Life Memories~

前世の記憶 ~Past Life Memories~

占い師や精神科医に頼ることなく、自力で前世を蘇らせる方法。

他 映画、音楽、スポーツ関連記事も書いています。



池田長発指揮下にある実行部隊は、配下の本隊と名も知らぬ剣士たち・・・


彼らの仕事は、陽の目を見ない--見せてはいけないものがほとんどだった。

なので、実行前の情報収集は欠かせない作業だったが、それは危険と隣り合

わせであるため、用意周到に進める必要があった。


その危険な仕事を任された寿三郎について--本人にはそれほど危険なもの、

といった自覚も薄かったが--彼の度胸の良さの他にも、予想を上回る意外な

利点を、長発は発見することになる。



彼が情報を得るためターゲットの住まいに向かう時、故郷で剣術を身につけて

以来肌身離さず佩いていた刀を置いて出かけた。


彼は、武士ではない--

刀を持たない寿三郎が、町人の格好をすると、あたかも生まれながらの地元民

のごとく、人々の中に溶け込んでしまう・・

さらに彼は、故郷で下働きの少女に取り入って道場に入り込み、いつの間にか

弟子になっていたように、世渡り上手というか、コミュニケーション能力に長けて

いるところがあり、それを無意識に情報収集時に利用した。

ターゲットのボディガードや門番等、もしくは、その取り巻きにすら、平気で世間話

をしかけ、無理なく情報を引き出したのだ・・!


情報量の多さ、正確さ・・加えて足が速いので、長発の部隊が情報を得るスピード

もそれに比例した。



--これは、武力に勝るとも劣らない大きな武器となった・・・



寿三郎がこの仕事に携わるようになると、長発側の不首尾が激減しただけでなく、

情報を得てから実行に移すまでの時間が短縮されたことで、こちらの情報が漏れ

にくいという恩恵にも与ることができた。


--長発は、相当な家系の出身だったが、この仕事をするにあたり、身分に拘る

ということがなかった。

現代的というか合理的というか・・・能力や適性に応じて、

適材適所 

に部下を配置する、といった考えを持つ人物だった・・