幕末を駆けた青年(7) 選ばれた剣士達 | 前世の記憶 ~Past Life Memories~

前世の記憶 ~Past Life Memories~

占い師や精神科医に頼ることなく、自力で前世を蘇らせる方法。

他 映画、音楽、スポーツ関連記事も書いています。


師範のレッスンで基本を学んだ寿三郎は、次第に腕を上げていった。

他の弟子達に比べ期間は短いので、洗練された技術とまではいかない

が、大勢の剣士見習いの中では、頭ひとつ抜きん出た存在のひとりに

なっていた--


--そんなある日、有望な弟子数名が、師範に呼ばれた。


剣士見習いといっても、彼らの中で最も腕がたつと師範が見込んだ

『エリート』ばかりが集められたのだ--。

数は6名ばかり--が、彼らが思わず顔を見合わせたには理由があった--


寿三郎が混じっていたからだ・・・


顔ぶれを見れば、どのようなクオリティーの弟子が集められたかは

一目瞭然--

確かに彼は目立っていた。しかしそれは上達の速さと身の軽さ、決して

技術が抜きん出ていたわけではない。


彼は異色の存在だった。

が、当の寿三郎は、何のために呼ばれたかも知らぬのに、鼻高々、舞い

上がっている--


師範は、もの問いたげな表情の彼らをぐるりと見回すと、数日中の出立

を告げた・・・