幕末を駆けた青年(5) 道場 | 前世の記憶 ~Past Life Memories~

前世の記憶 ~Past Life Memories~

占い師や精神科医に頼ることなく、自力で前世を蘇らせる方法。

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寿三郎は、家業である漁が好きではなかった。

まだ10代の若さで、両親の苦労も何も判らない年頃--


そんなある日、用事を頼まれた寿三郎は、訪れた場所のすぐ側に建つ

『道場』 の存在を知る事になる。


広い板の間を埋め尽くす剣士達--

道場に入りきらない若者たちが、庭まで溢れている。


どさくさに紛れて道場の中をのぞき込む寿三郎の目は、若者たちの姿に

くぎ付けになった・・・熱気に満ちた掛け声、一心不乱に竹刀を振り下ろ

す彼らの、真剣な眼差し--


彼らはしかし、武士ではなかった。


武士の身分でなくとも、武士のように剣を扱える--

寿三郎は、時代の流れを知る環境にはなく、何故、農民や漁村の連中が、

武士のまね事をしているのか理由はさっぱり判らなかったが、空前の道場

ブーム?を目の当たりにし、生まれて初めて心躍る自分を感じていた・・