ーー視えた映像を調べていった結果、最初に聴こえた情報 『予科練』 を、ことごとく裏付
けることになり、また、点でしか視えなかった断片的な映像が、新たな知識を得て、ひとつの
線 で繋がった。
改めて、映像を要約してみると
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15歳の一男は、予科練に志願して合格、入隊するため、海軍の軍服に身を包み、霞ヶ浦か
どこか、本州にある航空隊へ入隊するため、福岡を旅立った。
しかし、中学を卒業したばかりのまだ子どもでしかない息子が、戦争に身を投じると聞いた時、
両親は、それを受け入れることができなかった。
特に母はーー彼女は、ひどく肝の据わった女性であったため、猛烈に反対した。が、どうして
も行くと言ってきかない息子に、悲しみよりも怒りの方が沸いてきてしまう・・・
出航する時、敬礼したまま母を見つめる一男の、そのなんとも言えない表情には、理解しても
らえない母に対するあきらめと、申し訳なさと・・・複雑な思いが入り混じっていた。
しかし親元を離れ、入隊してみればそんな事も忘れ、空に対する憧れーー飛行機に乗る事へ
の夢は益々膨らみ、浮かれて紙ヒコーキなど飛ばしてみたりしたのだった・・・・。
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『④ 出立』の時に書き忘れたが、一男が出航した時点で15歳だった、というのも情報として
得ていた。
ということは、彼は、満15歳以上の志願者を選抜した 甲種飛行予科練習生 であり、
入隊したのも、その制度ができた 昭和12年以降 ということになる。
教室の映像も、練習生の座学のための教室であろう。
こうして、視えた映像の辻褄が合ったことで迷いが消え、再び続きを視るための条件が揃った
私は、教室の風景で終わっていた映像の後、突然感じた母の深い悲しみの理由を探る
ことにした。
ーーあれほど腹を立てていた母親が、何故、突然の深い、大きな悲しみに襲われたのか。
そしてその理由を知った先には、さらにもうひとつの課題が提示されたのだ・・・
