前世の男性の、その洗練された物腰は、ある意味、彼が 『意図的』 にしていた
ことだった。
男性でありながら、軍服でさえも着こなしに拘る。
オシャレで、普段から自身の外見に気を配る・・・
それを常に心がけた結果、意識しなくてもスマートな仕草や物腰が、自然にできる
ようになってしまったようだ。
※男性でありながら外見の美(洗練された男性像。女性のようになりたいという意味ではない)
に執着する姿勢は、今生の『彼女』の拘りに通ずるものがあるように思えた。
ーーが、この青年は、ただの 『やさおとこ』 ではなかった。
次に見えた映像は、塹壕の中に座る青年の姿。
煙草をくわえたまま、銃(筒の長い銃)を抱えた青年に緊迫感はなく、普段の生活と
全く変わりない態度にしか見えない。
これが実戦の最中なら、大胆不敵としか言いようがない。
実際、 『恐い物知らず』 もしくは、死に直面する恐怖をわかっていないようなーーそんな
情報が視えてきたのだから、虚勢を張っているわけではなさそうだ。

