前世の男性には、妻と子どもがいる、と書いた。
そして彼の子どもは、なんと、十人ほどもいるのだーー!
視えたのは、彼を中心にしてずらりと並ぶ子ども達。
一番端に妻が慎ましく控えている。
大柄な彼の身長は、一番年長の子ども(中学生ぐらい)の2倍ほどだ。が、威張った
様子などもなく、まるで風景の一部のように、図に収まっている。
穏やかな表情は常にそうであるらしく、感情の起伏も少ないーーにもかかわらず、父と
しての存在感は計り知れず、それは彼を見上げる子どもたちの笑顔が証明していた。
子育ての仕方は実に公正ーー
兄弟姉妹を分け隔てなく、広い心で接することのできる人物だった。
『 敬愛 』
父に対する気持ちは、この言葉に最もよく表されているが、それは同時に、彼をリーダー
とする部族の人々にとっても同じことが言えた。
ーー人格が高く評価されたからこそ、リーダーとして推されたわけだが、加えて、一族を
護るための戦ーー司令官として、また、その 戦法 自体も、彼の評価をさらに高める
ことになっていくのだ・・・

