息子が訪ねてくれたことが、嬉しくて堪らない父・・
ボタンを掛け違えてしまったけれど、心の奥底では深い絆で結ばれていた二人ーー
墓前で示された父の深く純粋な愛情は、私の心を捉えて放さなかった。
ーーこの父子の、前世での関係性、そして、真の姿とはいったい・・?
どうしても知りたい気持ちが湧き起こり、ダメもとでトライする決心をしたーー
ーー視えてきたのは、見覚えのある帽子・・? 否、ヘルメットだ。
耳あてが付いたヘルメットを被った、坂上の前世らしき 男性 の横顔・・
ーーモンゴル・・・?
そうだ、確か 英国王ジョージ6世の前世 で見た、モンゴルの武将が被っていたアレ、だ。
若いーー18才ぐらいーー
ジョージ6世の時と違って、武将と言うよりは、下級の一兵士に過ぎないようだ。
行軍の途中らしい。
似たような年頃の兵士数名と共に、とある村(部族の)を通り過ぎようとしていた。
一角に、子ども達が集まり、楽しそうに遊んでいるのが見える。
賑やかな声に誘われるように、彼らの方を振り返ると、5,6人の幼い子ども達に交じって、
少し大人の、愛らしい少女に目が留まった。
13、4歳ぐらいだが、幼さの残るその顔に、兵士の瞳は釘付けになった。
美しいとかそういう理由ではないーー
運命に導かれるように、出会うべくして出会った少女は、父の前世の姿だったのだ・・・

