その日、先生の送別会で、おしゃれなランチとお喋りに花を咲かせた後、隣接する
犬山ホテルに場所を移した。
そこでは、先生の現在の彼氏のお話、また、仲間たちの話など、興味深い話題満載で、
さらに盛り上がった。
その中にひとり、昨年ご主人を病で亡くされた仲間がいる。私は仕事で、葬儀に出席する
ことは叶わなかったが、後日例会でお会いした際、ご主人の姿を彼女の背後に見ていた。
ーー私自身、ご主人にお会いしたことは一度も無い。
先生との間でその話題になり、感極まって涙する彼女を見るうち、ふと、もう一度ご主人を
見ることはできないものかと意識を集中させてみたーー
すると、完全に姿が見え、さらに
ある動きと言葉 が見え?た・・
正面を向いていた身体を横に向け、彼女の肩に手を置き、ユーモラスな短いある言葉を
呟いたのだーー
その時はその言葉に深い意味があるとは知らず、ひとりウケて、にたにたしていたのだが・・
後でその言葉を皆に告げると、一同爆笑となった。
それはひと言 『喋りすぎ』 というものだったが、決して彼女を責めているわけではない
たしなめる、というようなものだった。
確かに彼女は楽しいお喋りが上手で、だからご主人もよくわかっている、ぐらいに思った。
しかしその後、彼女にとって、その『喋りすぎ』に、ある特別な意味があることを知るーー
彼女は語り始めた・・
ご主人によく言われていたというその言葉ーー
検診の日、病状も詳しく語ろうとしないご主人を心配するあまり、自らその内容を告げた。
次第に、ご主人より彼女に向かって訊ねるようになっていったご主人の主治医ーー
また、喋り過ぎないことで返って不都合が重なっていったために、喧嘩にさえなったことも・・
このひと言が、ここまで大きな重みを持っていたと知り、驚いたーー
このような展開であったにも拘らず、見えないものを見る私の話も、決して蔑ろにはしない先生ーー
ーー医学の領域に居る先生が、何故、前世やスピリチュアルな分野に興味があるのか、
聞いてみると、医療行為を行う中、実は、所謂物理的な医学にも、スピリチュアルな世界を
切り離せないと気づいたからーーという答えが返ってきた(私の理解)。
ーーまるで、先生に余計な手間を取らせないために、日を選んだかのように旅立った仲間の
ことを例に挙げたりして話をされたが、それ以外にも不思議なでき事がいくつか起こっている
のだろう・・・
この後、先生から、私が見た前世の話から派生して、現在の彼氏の話題になっていく。
オープンな性格の先生は、自ら自慢の彼氏の写真まで、私達に見せてくれた。
ーーまるで前世をくり返すかのようにーーお付き合いしている彼は、外国の男性だった。
写真を見せてもらった印象は、とてもお似合いでーーかといって、その時、何かを視ていた
わけでもなんでもなく(実際、すぐには何も視えない(;^_^A)、素の自分が感じたものだった。
ただ、先生は何か迷っている風に見えた。
そうこうするうち、仲間のひとりが、先生の前世の物語のごとく、実は自分も駆け落ちして
結ばれたのだと告白し始めたーー!
その時のことが蘇るのか、彼女もハンカチで涙を拭いながらの告白となった。
そして何か感じるところがあったのか、前向きに生きようという決意のような言葉が、先生の
口から飛び出したーー
ーー様々な話を聞けば聞くほど、ある試みに挑戦しようという私の思いは強くなっていった・・

