ーー前世の女性と別れてフランスへと帰国した男性・・
再び彼女の元へ戻ると心に誓った。
一方、女性の心境は穏やかではなかった。
戻ってくるという期待は、確信とまではいかないーープッチーニのマダム・バタフライを知っていたら
(この時代は存在しないが)正しく同じ心境だと思ったかもしれない・・
時は過ぎ、男性は誓いどおり、女性の元へと帰ってきた・・!
多分、2年ほど経った後のことーー
※数字に関しては、後に時代考証等をした結果出したもので、推測の域を出ない。
船から降り立った男性を見たときの女性の心は、信じられないほどの喜びに満たされたーー
しかも、男性が戻ってきた大きな理由は、再会するため、命の恩人への感謝の意を表しに来たことではなかった。
ーー男性は、女性との結婚を決意していた・・!
意志の強い男性にとって、国籍の違い、文化の違いなど問題ではなかった。
女性にその意思を伝えると、父親の許可を得るべく彼女の住居へと向かう。
女性の実家は庭付きの大邸宅ーー面会を求める男性は、ひとり居間で待たされる。
しかし待っても待っても父親は現れないーー。
数時間が経過ーーついに姿を現した父は、烈火のごとく怒っていた!
ーー小柄で細い体型であるにも拘らず、居間にある高価な調度品を、怒りに任せて放り投げては叩き壊した!
娘が止めに入っても怒りは収まらないーー
父に男性を紹介した結果は、大誤算に終わった。
狂ったように反対する父を前に、二人の未来は閉ざされてしまうのか・・
