World Figure Skating Championships
March 5, 2013
男子シングル部門においては、今年、ここ数年の世界選手権と比較して随分様変わりしたものに
なりそうだ。
過去2年間、パトリック・チャンだけが本命だった。
彼の強みはといえば、失敗のないクワドトゥーーショートとフリーに3本組み込んでいた。
それが彼を、常に 『最強のスケーター』 として位置づけたため、
“アンストッパブル” 状態にしたわけである。
なので、2011年に彼がワールドを制した時も、何も不思議じゃなかった。
ところが昨年、彼と他選手との実力の差が縮まり始める・・それでもなお、彼が大会を勝ち抜く
術は残されていた。
・・でも今年は・・?
優勝候補は、複数いる
無敵ーーもしくは、勝って当たり前 の感覚が過去数シーズン、ずっとチャンの周囲に漂
っていた。ところがその感覚が、昨シーズン中盤辺りから薄れ始めるーー。今シーズンを迎え、そ
れはさらに薄まっていく・・
理由を説明しよう。
チャン以外の3人もの男子スケーター達が、過去に彼が国際大会で記録したスコアより高い得点
を叩き出したからだ。
その3人とは、ヨーロッパチャンピオンのハビエル・フェルナンデス、GPファイナル王者
高橋大輔 そして、ショートの世界記録保持者である羽生結弦。
ただしだからといって、チャンが優勝候補から外れるという話ではない。
候補が、4人に増えた というだけのことだ。
ダークホース達
表彰台に上がるのは、この4人のうち誰になるのかという話題の一方で、近頃のプログラムは
どんどんリスキーになっていて、そんな話題の選手でさえもミスを誘発される可能性があるーー
それもかなり高い確率でーー。
ミスが取り返しのつかないほど大きいものだったり、大きくなくてもミスの数があまりにも多かったり
すれば、そこにダークホース達の付け入る隙が生まれ、メダルをさらわれるということもあるだろう。
昨年の羽生自身が、ダークホースからサプライズの銅メダルを手にした如く、また、今年の世界
フィギュア出場権すら手に入れられなかったアルトゥール・ガチンスキーが、一昨年、紛れもな
いサプライズだった銅メダルを手にしたようにーー
中でも、ケヴィン・レイノルズは、まさにそれをやってのけたひとりだ。
四大陸選手権で、高橋と羽生、両方のミスを逆手にとって優勝を飾ったのだからーー
他には、ヨーロッパ選手権銀メダリストのフローラン・アモディオ、銅メダリストのミハル・ブレジナ
ーー2人ともシーズン終盤での復活を目指す。
ハイレベルな全日本選手権で3位となり、ワールドの出場権をゲットした無良嵩人。
12年連続でワールド出場権を手にした、元世界王者ブライアン・ジュベール。
そして、2人の 『マックス君』 --全米新チャンピオンマックス・アーロンと、ヨーロッパ選手権
5位のマキシム・コフトンなどもそうだ。
