November 28, 2012 By: Jackie Wong
ほとんどのフィギュアスケートファンは、競技会におけるISUの決めたルールと採点法がパーフェクトだ、
とはとても言えない代物だということに賛同してくれるに違いない。
中でも、競技会のあり方に多大な影響を及ぼすがために、強く再考を促したいルールが2つある。
ひとつは、シニアによる主要な国際競技会における、年齢制限。
もうひとつは、今シーズンのグランプリシリーズーー最後のNHK杯も含め、観た人の誰もが思ったように
世界選手権にエントリーできる人数が、各国最大3名までという、出場可能選手枠についてーー
これに関しては、声を大にして叫びたい!!
年齢制限に関しては、私はすでに公言している。事は簡単
『そんなもの、無くしちまえ!』 だーー
しかし、エントリー枠については、そう単純にはいかない。
人数制限を無くせば、大混乱を招くことになり、そんな混乱を歓迎する人もいないだろう。
日本男子4名がファイナル出場
エントリー枠に関する議論にはずみをつけたのは、当然、男子シングルにおける日本人選手の
快挙であることは言うまでもない。
ここ何年間か、世界のトップスリーを守ってきたのは、高橋大輔、小塚崇彦、そして織田信成の
3選手だった。ところが今シーズンは羽生結弦が台頭し、町田樹と無良崇人がグランプリシリーズ
で優勝を飾っているーー
ということは、3人ではなく、6人もの日本人選手が現在、男子フィギュアにおける世界の
トップ15の中に居るという紛れもない事実が存在する。そして、まさにそこに問題があるーー
最高でも、一国たったの3人しかエントリーできない世界選手権での結果が、すなわち
通例上ーー世界のランクを意味することになるわけだが、今シーズンの経緯を辿れば、
来る3月の世界選手権において、各国から選ばれた3人(もしくは2人)の選手達の戦いは、
真に強いスケーター同志が雌雄を決する戦いとは決してならない、ということになってしまうのだ。
今シーズンのグランプリシリーズ最後のNHK杯で羽生が優勝し、高橋が銀メダルを獲得した
ことにより、ファイナルへは羽生結弦、高橋大輔、小塚崇彦、町田樹の4人の出場が決まった。
中国杯で優勝した無良崇人と、スケートカナダで銅メダルだった織田信成は、その中に割り込む
ことはできなかった。
ということで、世界選手権に次ぐ主要な大会と言えるグランプリファイナル
(ヨーロッパ選手権と四大陸選手権は、限られた地域に限定されるので除外した)
には、最高の大会である世界選手権よりも多い数の日本人選手が出場することになる。
過去にも同様、やはりグランプリファイナルに一国で3人を越える選手が出場した例がある。
1998~1999年シーズンで、ロシアのアレクセイ・ヤグディン、アレクセイ・ウルマノフ、
エフゲニー・プルシェンコ、アレクサンドル・アブトの4人全員がファイナルに進んだ。
このように、才能あるスケーターが一国に集中する時代に遭遇することがある。
過去10年余の日本のシングル男子とシングル女子、1990年代後半から2000年代前半
にかけてのロシア男子、アメリカ女子など・・
確かに頻繁に起こり得ることではないかもしれないが、そうなった場合、才能溢れる選手が
ISUの規則によって出場機会を奪われるのは、何とも残念なことだーー!
(後略)
