非常に寒い朝だった。
夜が明けたばかりらしいその場所は、辺り一面、濃い朝もやがたちこめていた。
前世の男性の背後には、広々としたスペースに、遠くまでテントらしきものがいくつも建てられている。
それは、将校も含めた軍団の兵士達が寝泊りできるテントだ。
夫の前世である男性は、小柄で少し太め、ずんぐりむっくりした体型。
軍旗を掲げ持つ役割だからなのか(先頭に立つ?)、他の兵士達より早起きして、皆が起き出すのを
待っているようだ。
寒いし、手持ち無沙汰なためか、男性は何かを口にしていたーー
で、目を疑った・・
男性が口にしていたのは、現代の煙草のようなものーー
煙さえ吐き出しているのが見えたーー!!
ーーち、ちょっと待て・・二千年前のハナシだ。タバコなどあるわけがない!?
頭の回線がついにショートしたか・・
??マークだらけになったままーー真偽の程は、また後で検証するとしてーー
ともかくも先へと進んだ。
やがて、兵士達が起き、行動に移す時間が来たようだ。
前世の男性は、煙草らしきものを地面に捨て、背筋を伸ばした・・・
