男性は、25歳ぐらい。
ーー最初に見えたのは、道をショートカットするため、雑草の生い茂る低い崖を滑り降りていく姿。
両腕に雑草が擦れる感触があったーー
下りると、道に沿って民家が何軒か並んでいるのが見える。
どうやらそこは、男性が暮らす 村 のようだ。
そして彼は、民家の一軒一軒に、ある知らせをするため歩いて回っていた。
ーーまるで現代の 自治会長 のような役割を 仕事として 担っているらしいーー
ある家から顔を出したのは、中年の女性。
特徴のある帽子を被り、白いブラウス、長いスカート。
質素なドレスを身に着けていた。
男性はその女性に丁寧に、ある情報を伝えている。
二人とも立ったまま、近所話でもするように、女性は長い時間をかけて説明を聞いていたーー

