故人なのだから 前世 と言うより、過去世と言ったほうがいいのかもしれない。
父が、故人だからとかそうでないとか、一切区別をつけず、いつも通り意識を集中させてみた。
ーーーすると、普段と変わることなく、その姿が見えてきた・・・
ーーー 中世風の衣装を身に着けた男性 ーー
腰まである黒いマントーー帽子を被っている。
続いて見えてきた光景には、驚きを隠せなかったーー
茶のブロックを積み上げた壁に、数字の羅列ーーー
男性が、数式らしきものを落書きのように書き連ねたものであるーーー
手の届く高さから足元まで、大量の数式で埋め尽くされていた・・・!
数学の歴史 で思い浮かぶのは、アルキメデス とか ニュートンとか(物理?)・・
ーーそもそも数学が得意でもない私に、数学に関連した過去世かい・・・っ![]()
ヨーロッパの数学の歴史など、興味を持つことすらない。
だいたい、数学などこんな時代に存在したのかーーそれぐらいの歴史認識しかなかった。
具体的に理解できた記号が
α と =
ぐらいーー学識のある人なら、数式が何だったか解ったかもしれない・・・
前世の男性は、数学の研究をしているようなのだが、その場所だけでなく
野原に紙とペンを持ち出し、日長一日研究に没頭したりしている。
王らしき人の城?の門を開けると、そこには大勢の人々がーー女性や子どもたちも含んだーー
尊敬と親しみのこもった眼差しを向け、男性を笑顔で迎え入れる。
漆黒の髪、口ひげを生やした男性は、誇らしい気持ちで、自分のために道を空けてくれる
人々の間を進んでいった。
その先にはもうひとつ城門のようなものがあり、そこをくぐると賑やかさは消え
ひっそりとした広い庭に出る。
見上げる先には、王の居城が聳えていた・・・


