木曽では古くからアマゴの事をタナビラと呼ぶらしい。

流れで育ち体高のあるアマゴの事をそう呼ぶようです。

現在、川への増殖義務により漁協が逃すアマゴ

放流が盛んになった今では本当にタナビラと呼べるアマゴはいるのだろうか…


最近の木曽漁協の逃すアマゴには多くの批判が聞かれます。

アマゴの特徴であるオレンジの点が気味が悪いほどに散らばり見るに耐えないアマゴです。


「なんだこの朱点」

「頼むからもっと考えて逃してくれ」

「木曽も堕ちたものだな…」

「気持ち悪い」

「日釣り券の2000円があの魚を作ることに使われると思うと悲しさしかない…」

私も事実釣ったことあるのですが、正直写真を撮る気にもならないし、この魚なら釣れなくても良いです。

魚に罪はないですが、なぜもう少し野生的な体色の魚を変えるとか出来ないのでしょうか?

そんな木曽のアマゴ…

昔ながらのタナビラはどこへ…


いやもう居ないのか…

私の頭にはすっかり木曽のアマゴの事など忘れていました。

ある時、入った沢。

イワナはぼちぼち良いのが出たのだが、驚いたのはいきなりアマゴが釣れた事。
大きさに見合わない体高。あるかないかわからないくらいの上品かつ控えめな朱点。

お腹のマダラ。

圧倒的に釣れる数が少ないアマゴ。

漁協による放流によりアマゴが逃がされた事は、ほとんどないのでしょう。

釣れた瞬間、これはタナビラと呼んでいいのではないか。

そう思える魚でした。

しばらく遡行して行くと数多く釣れる岩魚に混じりまたアマゴが出てきました。



小さいけど、体高のあるアマゴ。

引きもパワフルでした。

この日、釣れたアマゴを見て、これこそ古くから木曽地方でタナビラと呼ばれているアマゴの末裔ではないか、そう思うと浪漫を感じずには居られないのです。