ミラートレード研究 α

ミラートレード研究 α

心理的な負担を劇的に減らせるシステムトレード、中でもミラートレードを使ったトレード手法に興味をもっています。確率統計の技術を用いて自動的・機械的に資金運用し、利益を出していこうと考えています。

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チャイナショック(名前ついちゃったwww)を契機とする世界同時株安のため、
市場が混乱したこともあり、ボラティリティが大きくなった。
ここ半年間不調をきたしていたシステム4本は全てこの市場の急激な変動に対応できず、
大敗を喫した。

わずか2日間で20万円近い損がでた。

すでにこの半年間は負け越していたので
昨年1年で25万の利益を積み上げたが、ほとんどが吹き飛んだ計算だ。

今年の4月にも同じような月を経験した。
システムをたくさんいれると結果的にリスクが大きくなる。
リスクを大きくとった投資スタイルなだけに、損失の出方も大きい。

ここ半年はある仮説を証明するためにあえてシステムの検証を甘めにしていた。
それは「大勢が選んでいるシステムを選び続けていればうまくいく」
だった。

エクセルを使った分析には自信があったので、
どんなシステムを選んでもある程度利益が出るだろうと踏んでいた。

結果的にシステムの入替えをほとんどせず、
1週間に2~3回機能しているかをチェックしているだけだった。
最初の1年はうまくいった。

が。

この半年行き詰まっていた。
その結果がこの有様だ。

分析にも原因があった、と思う。
システムを止めるタイミングを図るために
・標準偏差
・ベイズ統計
を用いた簡易的な信号をもとに判断している。

標準偏差をつかったものは個人的には感度が悪いと思う。
損がでてから、「止めとけばよかったね」と言われる感じ。

むだ。

一方のベイズ統計をつかった手法はシステムを入れたり、止めたりがかなり煩雑に入れ替わる。
これからはベイズ統計基準をもとにシステム入替えの判断をしてみようと思う。

そのためには毎日のチェックが欠かせない。
ただ毎日膨大な計算をPCにさせていたのでは時間がかかりすぎる。
月~木は過去データをいじらず、新しいデータを追加していくだけ。
金曜日に過去データをすべて再計算して一週間の総括をする、という流れにしてみよう。

管理体制を変える以外にも
ポートフォリオ全体を見直さないといけないと思う。

いい機会なので、システム選定の基準を決めてみたい。
何十億ドルという資金を扱っている銀行は
マーケットは標準的な金融モデルが示すよりもはるかに短期間のあいだに
支離滅裂な動きをすることがあることを認識するべきでした。

2007年から2008年にかけて破綻した銀行やファンドは
リスクを管理する方法を理解してはいなかったのです。
自分でも理解していないゲームでレバレッジという掛金の高い勝負をし
そして、負けたのです。


リスク管理の根底にあるのは
自分が全てを失ってしまうような賭けを回避すること、
それにつきます。
僕のポリシーでもありますが、
投資では大儲けすることではなく、生き残ることの方が重要です。
そのための公式としてケリーの公式というものがあるようです。

貪欲さのままに大量のレバレッジにつながった古典的な例が
LTCMです。
大きく儲けられるような投資機会が減っているにもかかわらず
同じリターンを生み出し続けるためには、
レバレッジをあげていくしかありません。
賭けすぎとレバレッジが大量のアンワインドに繋がり、
リーマンショックという大惨事につながってしまった
わけです。


効率的市場仮説の立場はもはや、確固たる支持者からの支持も薄れはじめ
最近では金融市場の混沌とした動きを捉えた新しい理論が出てきました。
アンドリュー・ローの適応的市場仮説(AMH)です。

市場参加者は常に価格の歪みから利益を搾り取る競争をしており、
それによって歪みは解消され、短い間だけ外見上の均衡を取り戻します。
その後、市場参加者は新鮮な肉を求めて狩りに出かけ(狩りに失敗すれば死ぬだけ)
そこに持続的かつしばしば混沌とした破壊と革新のサイクルが生まれる、という仮説です。

この見方は僕たちに不安を感じさせる一方で、
現実に即しています。


ダニエル・カールマンの行動経済学では人が金のことになると
最善の選択をするとは限らないことが繰り返し証明され、
神経経済学では、人がしばしばしてしまう合理的とは言えない判断を
なぜしてしまうのかを脳の働きから読み解いています。

脳内の特定の分野には「貨幣錯覚」に陥りやすい箇所があることが証明されつつあり、
それによって人は将来の出来事が及ぼす影響についての判断力が
甘くなる傾向があるそうです。


クウォンツたちの取引環境にも
ダークプールという新種の環境が浸透しつつありました。

非公開の、システム化された取引所外取引環境のことをダークプールといい、
株の大量の売買注文を仮想空間上で成立させることができるようになりました。
匿名取引のため、取引内容は一切表に出てきません。

ダークプールにはSIGMA X, Liquidnet, POSIT, CrossFinder, NYFIXミレニアムHPX
などという名前がつけられています。

新しい金融技術を駆使する者たちは、高頻度取引は「流動性」をもたらし
トレーディングはより簡単に、より低コストで行えるようになったといいます。
しかし2007年および2008年の金融パニックが示したように、
流動性とは常に不要なときに存在し、必要なときには決して存在しないのです。


世界中で取引を行うために作られた高レバレッジのビークル、
リターンを追求し続けるヘッジファンド、
電光石火のシステム取引ロボット、
流動性を求めてダークプールにうごめく匿名取引、
金融システムに介入しようとする政府…
これからのクウォンツは果たして過去の栄誉を取り戻すことができるでしょうか。
多くの投資銀行やファンドはリスクを背負って
莫大な額をクレジット市場に投下し、利益を得ていきました。


ところが2007年春には、複雑な取引が抱える問題が表面化してきます。

住宅価格が高騰したいくつかの州で多数の住宅購入者が返済不能に陥ったのです。
高格付けのトランシェも危うくなり、
徐々に莫大な損失の可能性が明らかになっていきました。

サブプライムCDOを保有していた投資家たちは
自分たちのCDOを一斉に売ろうとしたため、
クレジット市場は機能不全に陥ってしまいます。
大量の売り手に対する買い手はほとんどなく、
損失は一気に膨らんでいきました。


信用危機はクレジット市場での混乱にとどまらず、
8月以降の全面的な金融システムの崩壊へとつながっていきます。

運用資産の大きい複数のファンドがサブプライムによる深刻な打撃をうけ、
プライム・ブローカーによってマージンコールの引き金が引かれたことが
この崩壊の原因だと推測されました。

マージンコールをかけられたファンドは
流動性の高い資産(株式等)を現金化していったのだろう、と。
流動性への避難
マージンコール…投資家はしばしば資産を買うためにプライム・ブローカーから金を借りる。
それは証拠金勘定を通じて貸し出されるが、資産の価値が減っていくと
ブローカーは投資家に追加の証拠金を積むように求める。
これがマージンコールである。


サブプライムローン市場の暴落がヘッジファンドのマージンコールを引き起こし、
ヘッジファンドは株のポジションのアンワインドを余儀なくされました。
価格がアンワインドすることによってほかのファンドもまた、
アンワインドをせざるを得なくなりました。
この質の悪いループが発生することにより、
たった数日間で何十億ドルという金額が吹き飛び、
金融システムの安定性そのものまでもが脅かされるようになってしまったのです。


2008年1月末、フランスの大手銀行ソシエテ・ジェネラルのジェローム・ケルビエルが
ヨーロッパの株価指数先物を使って
730億ドルというポジションを積み上げていましたが、
このポジションを銀行内のリスク管理ソフトウェアを
ハッキングすることによって隠蔽していた上、
これらのポジションが72億ドルという巨額損失を計上していたことが発覚、
ソシエテ・ジェネラルがポジションのアンワインドをしました。
この事件によるグローバル・マーケットの急落は多くの投資家を震撼させました。

金融システムは崖っぷちをさまよい続け、
2008年3月にはついにベア・スターンズが破綻し、
9月にはリーマン・ブラザーズが破産申請をします。

市場への影響は甚大で、
多くの銀行やヘッジファンドが巨額損失を抱え、
破綻したり政府の介入を受けたりするものまで出てくるという
未曾有の大惨事となりました。

マーケットの破壊的な威力は
世界の金融システムをもう少しで崩壊させるところでした。


そうです、
これが世に言うリーマンショックです。
ウォールストリートでは1980年代から「証券化」が流行るようになります。

バンカーたちは貯蓄金融機関や商業銀行の住宅ローンをはじめとするローンを購入し
それらをまとめて一つの商品にするのです。
そしてその商品を小さな単位(トランシェ)に切り分けて
年金基金や保険会社といった投資家に売りさばきます。

トランシェごとにクオリティ、利回り、償還期間などはさまざまです。
元の住宅ローンがデフォルトを起こした場合、
リスクを負うのは購入者であったため、それも投資銀行にとっては都合のいいことでした。

ソロモンはじきに人類が知りうるあらゆるローンの証券化をはじめ
クレジットカード、自動車ローン、学生ローン、バンクボンドなど
1990年代になるとサブプライムと呼ばれる
信用度の低い借り手に対するローンの証券化もはじめました。

手数料がたっぷり入ってくるため
この仕組みは非常に収益性が高いものでした。


時間とともにますます多くのCDSやそのトランシェは
金融システムに浸透していきました。
CDS…クレジット・デフォルト・スワップ。
1990年代の初めに開発された金融商品。
債権または債権の束に対する保険のようなもの。
保険料は債権のリスクの高さに応じて変動する。



そして2004年、投資銀行は需要にこたえるべく、
サブプライムローンのCDO組成を始めることになりました。
CDO…債務担保証券
クレジットカードや住宅ローンなどをひとまとめにした金融商品。
その後、CDOはトランシェごとに切り分けられ、
比較的安全なトランシェに対するトリプルAから
トリプルB(もしくはそれ以下)まで、
さまざまな格付けが付与されて売り出される。
格付けの優先順位はデフォルトした際に元本が確保される順位に基づく。


リスクの高いサブプライムローンがクウォンツたちの手によって
盤石なトリプルA債権に変身したのです。

商品の複雑さは邪悪なまでにひどくなり、
実際には何の秩序もないところに
秩序があるかのような幻想をもたらすことになりました。
クウォンツたちのモデルの根幹には
ファーマの効率的市場仮説というものがあります。

簡単に言えば、市場に勝ち続けることは不可能だというのがこの仮説です。
株に関する新しい情報は全て即座に株価に反映されるため、
市場は「効率的」だといったわけです。

ファーマが前提にしていたのは
多くの参加者がつねに企業の最新情報を調査しており
大規模でかつ成熟しているマーケットでした。

そこで新しい情報を仕入れることは(決算、役員の解任、合併)
ピラニアの水槽に肉汁たっぷりの生肉を入れるようなものです。
肉は考える間もないほど直ぐに貪り尽くされてしまうでしょう。

すべての最新情報は株価に織り込まれ
将来の情報は基本的には知ることができないので
株価の上昇下降を予測するのは不可能である。
したがって将来はランダムであり、
ブラウン運動と等しい、と彼は考えたのです。

予測が不可能だというこの考え方をもとに
莫大な利益を稼ぎ出すモデルがいくつもクウォンツによって考えられたというのですから
なんとも皮肉なものです。
投資家たちは非効率を貪り食うピラニアになろうとしたわけです。