ある時 思いつきでゆっくりと呼吸をしてみた
お腹の部分が大きく膨張して 収縮した
こんな当たり前の動作を発見して
僕は誰かにこの発見を伝えたくなった
パソコンのキーボードで言葉を紡ぐ
今 この場で起きたリアルの出来事を
電子記号を通して画面に入力する
僕の気持ちは日本語に変換され
文章としての体裁を整えられる
これもまた 新しい発見ではないだろうか
生きることは発見の連続で
音楽を聴くという習慣一つにしても
”ヘッドホンのプラグをプレイヤーに差し込む”
という動作の後に行われるという事実を知る
一度認識されたものが常識として認知され
それが当たり前の事として意識されなくなる
食物を調理し それを食すという行為
生物を殺害し 切り刻む後の行為であるということ
本を購入し 小説を読むという行為
森林を伐採し それを加工して本にするということ
人間は毎日感覚を麻痺させることで日常を過ごす
蓄積された記憶を整理整頓し いらないものを忘れる
忘れ去られた記憶は明確な姿を失い消える
もしくは 補助記憶装置へ圧縮されて埋もれる
外部からのなんらかの刺激を受けることで記憶は解凍され
脳の中で再構築されて本来の記憶としての姿を取り戻す
取り戻された記憶が脳の器官を刺激し衝動を起こす
そうか この文章は記憶の再構築なんだ
機械的に行われた動作の末の行動なんだ
またひとつ賢くなった気がする
この文章を書いたという記憶は
いつか補助記憶装置に圧縮されて
本来の姿を失うのだろう
そして 何らかの刺激を受けることで
再構築されて改めて認識されるのであろう
今 こうして文章として外部に記憶しておくことで
読者に僕のリアルを伝え
同時に未来の僕に教えるんだ
言葉を紡ぐことの意味を
そうすることの素晴らしさを