ボランティアの形は様々 保護活動で受け入れた命ときちんと向き合い幸せにできてますか? | 【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

鹿児島で動物病院を経営しつつ、飼い主さんがペットに1つでも多くできることを提案できる場として、ペット関連のイベントや講演をしています。
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先日、TNR活動は、各人のリレーによって成り立っていて、

 

それぞれがお互いのことを尊重しあいながら行動することで

 

細く長くTNR活動ができるとお伝えすると同時に、

 

それぞれが抱えている問題についてお伝えしました。

 

 

が、その記事アップと同じくらいに、

 

『ボランティアさんが保護猫を衰弱させていた』

 

という記事を見かけてしまいました。

 

 

しかも、ここ鹿児島で・・・

 

 

 

ずーっとずっと恐れていたことが

 

この鹿児島で起きて、大きな問題になってしまったことを残念に思います。

 

 

その一方で、

 

これを機に、同じように間違った行動をしているボランティアさんに

 

自分のしている活動は間違っていないだろうか?

 

と再度考え直してほしいと思ったりもしています。

 

 

そして、今回は鹿児島でしたが、

 

はっきり言って、


どこの地域でも、同じようなことが起きています。




 

殺処分ゼロに向けて、

 

「できることがないか?」

 

といろんな人が考えてくれたり、

 

「ペットショップで買うのではなく、動物管理事務所や保護団体に問い合わせて犬猫をもらう」

 

ことを優先してくれる人が増えたり、

 

すごくいい流れだなと感じる一方で、

 

「保護活動を始めたい」とか

 

「保護施設を作りたい」とか

 

安易に考えちゃう人がいることを


不安に思うことがありました。

 

 

 

 

単純に

 

「殺処分ゼロにするために動物管理事務所から引き出す」

 

ことだけに注目しちゃって


行動しようとしている人が多いから。

 

 

他の人がしていることを見て

 

「私も同じようにやってみよう」

 

って軽く考えちゃう人が多いから。

 

 

 

 

引き出してもらうことで、


救われる命があって、

 

本当に感謝でしかないのだけど、

 

その一方で、


新しく産まれている命も多くあること

 

これが殺処分ゼロに近づかない理由の1つでもあるのです。

 

 

 

だから…


引き出して救って終わりじゃないんです。

 

 

 

 

そして、何より・・・

 

引き出して保護することも簡単じゃない。

 

 

病気を持っている子や問題を抱えている子もいるし、

 

医療費がたくさんかかるケースもあるし、

 

保護してから譲渡までにかかる費用もたくさんかかる。

 

 

そこまできちんと考えて、保護活動の1歩を踏み出しているのなら

 

まだ少しは安心なのですが、

 

このことを考えず、


とりあえず引き出して救うことだけを考えている人は本当に危険。

 

 

 

 


野良猫の場合は、今回の事件のように、子猫が関わってくるケースが多くって・・・

 

 


目が開いていない子猫を保護となると、

 

ミルクを4時間おきにあげなきゃいけない。


 

まだ免疫力も乏しい子猫は、

 

ちょっとしたことで風邪をひいたりお腹を壊してしまったり・・・

 

体が小さい分、その影響はすぐ命につながっていて、

 

あっという間に危篤になってしまったり、亡くなってしまったり・・・

 


目が開いていれば安心というわけでもなくて、

 

目が開いていても、離乳したばっかりの子や生後3ヶ月以下の子たちも、

 

免疫力がないことで風邪をひいている子が多かったり・・・

 

野良生活で腸内寄生虫やノミダニによって衰弱してしまっていたり・・・

 

 

本当にデリケートで、

 

全員を健康に育て巣立たせるのは、


かなりの労力、費用が伴うのです。

 

 


 

もちろん、


最初からこういった活動がスムーズに行くことはなくて、

 

病気の子を抱えて、病院に通い、治療をして、

 

そのたびにいろんな知識を得て

 

その子とともに、保護している自分も成長していくのだと思います。

 

 

 

 

時に、

 

命と向き合うことで、

 

救えない命が出てくることもある。


 

でも、

 

その命から学んだことを次に生かそう

 

そう思う気持ちが大事で、

 

そうやって


強くたくましくなっていくのだ


と思っています。

 

 

 

 

だから、

 

保護することは簡単じゃないし、

 

保護して終わりじゃないんです。

 

 

 





 保護するところがないからいけないんだ

 

と思っている人はもっと危険。

 

 


保護した子を置いておく場所があればいい


という問題ではないんです。

 

 

 

1人で満足いくお世話できる頭数ってある程度決まっていて、

 

頭数が多くなればなるほど、

 

お世話する人の数ってたくさん必要になるわけで・・・

 

そして、

 

お世話するためにかかるご飯代やトイレなどなど経費もかかる・・・

 

 

場所さえあれば、ノープログレム


というわけではないのです。

 


 

ましてや、


仕事をしながら、保護活動となると、


時間が制限されるわけだから、

 

保護できる頭数の制限は


もっと厳しくなるわけです。

 



 

保護施設を作ることを考えているのであれば、

 

そこに携わることができる人数、時間、費用を元に、

 

抱えられる頭数を計算してから保護してほしいのです。

 

 

 

 

 

保護活動をしているという人、団体をたくさん知っています。

 

ちゃんと管理できててすごいな

 

ちゃんと救ってもらってありがたいな

 

と思えるところもあれば、

 

大丈夫だろうか

 

と心のどこかで不安に思うところもあります。


 

根本的なことができていない人が多いから。

 

 

 

 

保護したら、健康診断はしてください。

 

 

まずできることをきちんとしてください。

 


ノミダニ予防、駆虫くらいはしましょうよ。

 

検便を重視する人がいるけれど、


100%検出できるわけではないです。

 

それより、いるかもしれないって思いで、


駆虫しましょうよ。

 

そうすることで、病気の除外ができると思うから。

 


下痢にしても、もしも寄生虫がいることが原因になっているのであれば、

 

駆虫だけで下痢は解決しちゃうんだから。

 

 

その話をすると、

 

「譲渡するから譲渡先で」とか

 

「今問題ないから」とか

 

「お金ないから」とか

 

しない方向で話を進める人がいるけれど、

 

保護したなら、それくらいはしましょうよ。

 

 

 

 

 

保護したばっかり、引き取ったばっかりの子を、

 

その他のメンバーと一緒にするのはやめましょう。

 

 

もしも、感染するような病気をもっていたら、

 

全員にうつっちゃいますから。

 

 


治療費が惜しいっていう人に限って、

 

一緒にしてしまって、うつしあいっこして、

 

結局全員に蔓延して、


全員治療する羽目になったり・・・

 

 

風邪をひいていなかった子がうつって悲惨な状態になったり、

 

腸内寄生虫がうつって下痢になって衰弱したり、

 


もしも一緒にしてなかったら、


健康でいられただろうし、

 

命取りになることなんてないし、

 

もっとオーバーに言うと、


そこで保護されなかったら元気だったかもしれないし。

 

 

 

過密化してたり、キャパオーバーだったりで

 

うつしあいっこが起きているのを見ると、

 

保護活動を何のためにしてるんだろうか?

 

と苦しくなることがあります。

 


ただただ、


保護してすぐにほかの子たちと一緒にしないことで防げることもあるのだから、


少しでもリスクを減らしてほしいのです。



 

 

病気の状態で放置しないで。

 

これくらい大丈夫だろう・・・と

 

たいして知識もないのに判断しないで。

 

病院にかかることもなく、

 

独自の判断で

 

「まだ大丈夫」とか

 

「私ベテランだから問題ない」とか

 

様子を見るだけ見て、限界が来てから病院にきても、

 

救えるものも救えなくなっちゃいます。

 

 

 

もっと早く治療していたら、

 

もっといい状態に回復していたのに・・・

 

というケースもたくさんあります。

 

 

 

医学は進歩していっているのに、昔ながらの知識で対応しているボランティアさんや

 

たいして知識もないのに、知ったふりをして対応しているボランティアさんを見ると

 

本当に残念になるし、

 

そこで保護されている子が不憫に思えることもあります。

 

 


 

保護活動を長く続けているのに、

 

予防薬の種類を知らないとか、効能を知らないとか、

 

知識がない人も多いです。

 



 

保護した分だけ賢くならなきゃ。

 

保護した分だけ知識を得て、


次の糧にすべき。

 


知らないことがあるなら、

 

次に生かすために、

 

周りの人にきちんと説明するために、

 

ちゃんと勉強しなければ。

 

 

そんな気持ちを持たず、


ただ保護するのはダメだと思います。

 

 



無理して野良猫を保護しないで。



野良猫を飼い猫にしようと動いてくれることを嬉しく思うことはもちろんあります。




ただ…


全然慣れる見込みのない子を、


慣らす技術もない人が、


無理に保護してかくまうことは


猫にとってストレスでもあると思っています。




TNR活動の中でも、


捕獲してずーーーっとかくまっていて、


だいぶ経ってからオペにくる人もいます。



捕獲されて、


知らないところで、ずーーーっとかくまわれてることで、


どれほどのストレスがあることでしょう。





自分の仕事の都合が…とか言われるけれど、


それも含めて計画的に捕獲に入ればいいだけのことで、


捕獲されて待機されて怖い思いをしてる猫のことを考えられない人は、


ホントに猫のことを思いやれてるのかな?


と思ってしまうし、


そういうことを平気でできる人が私は苦手です。



できれば、そんな感覚の人には、TNR活動とか保護活動してほしくない。




オペ後の管理ができる餌やりさんがいる地域であっても、


心配だからといって、


野良猫を家に保護しようとする人もいます。




だいたいそういう人に限って、


その後、保護した子たちの管理をきちんとできていないもの…




線引きをきちんとして、


保護すべき子のために、


保護できる環境作りをしておかないと、


TNR活動や保護活動で遭遇した、


どうしても自らが抱えなければいけない命を


受け入れることすらできなくなってしまいます。






 

保護している子たちに満足させれていない原因が

 

時間にしても

 

費用にしても

 

何かあると思っているなら、

 

保護する数を見直すべきだと思います。

 


 

そうしなければ、

 

保護している人でも、


『多頭崩壊』に陥るんです。

 


 

知られていないだけで、


たくさんあります。

 

予備軍もたくさん・・・

 

 

 

 

「時間も費用も場所も足りない」

 

って言い訳している人は、

 

勇気を振り絞って、


保護活動を自粛してください。

 



 

「相談がどんどんくるから・・・」

 

って言い訳している人、

 

だから仕方ないから受け入れるってしている人、


 

その行動をやめても、


余裕がある他の誰かがきっと保護してくれる。


 

もしそんな人がいなかったとしても、


あなたが保護したことで、


その命ときちんと向き合えないなら、

 

保護は成功してないし、

 

むしろその命を不幸にしてしまっているかもしれません。



 

野良猫については、


保護されず、野良でのびのびと暮らしてるほうが


元気でイキイキしてることだってあります。

 

 





最後に、

 

引き出しや保護は、


動物愛護の面で大事な行動の一つですが、

 

新しい命が生まれないようにしなければ、


引き出しや保護はずっと終わりません。

 



避妊去勢手術ありきだということ

 

野良猫に関してはTNR活動ありきだということ

 

それを忘れないでください。




整理して、


自分が優先的にしなければならないことを改めて考え直して


正しい保護活動をしてほしいです。