TNR活動は1人では実現できない!各人のリレーの賜物!野良猫のためにボランティア避妊去勢手術実施 | 【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

鹿児島で動物病院を経営しつつ、飼い主さんがペットに1つでも多くできることを提案できる場として、ペット関連のイベントや講演をしています。
http://www.ruoona.com/
http://www.alohapet.info/

今月は、『動物愛護週間』があり、

 

いろんなところで、動物にまつわるイベントや特集を考えてくださっているようです。

 

 

私の元へも取材依頼がありました。

 



 

動物愛護については、いろんな問題があって、

 

ターゲットを決めて内容を考えないと、


莫大なスケールのものになっちゃうんですよね。

 

 

野良猫の問題についても、

 

いろんな問題が複雑に絡んでいます。

 




例えば、餌やりさん問題。

 

 

たまたま近所に野良猫がいて、自分は猫が大好きで放っておけなくて、

 

「ご飯をあげなければかわいそう」

 

「家では飼えないから、せめてご飯だけは・・・」

 

という思いから、

 

定期的にご飯をあげる『餌やりさん』になるわけです。

 

 

餌やりさんの気持ちも、わかります。

 

 

 

ただし、人が生きていくのに、一人では生きていけません。

 

いろんなシーンで、いろんな人と関わりながら、生きているもの。

 

私たちの生活には常に相手が存在していて、

 

お互いがお互いに配慮しながら生きていますよね。

 

 

 

餌やりさんの気持ちは、十分わかるのですが、

 

主張する分、

 

餌やりさんが普段関わっている人や餌やりさんの周りの人への配慮も必要だと思うのです。

 

 

 

周りの人の中には、猫が好きな人もいれば、嫌いな人もいる。

 

 

好きな人であっても、

 

自分の家の敷地を汚されたり、

 

ゴミをあさって散らかされたり、

 

車にひかれたのを目にするのが辛かったり、

 

毎夜猫の鳴き声や喧嘩を耳にしたりするのは嫌な人もいる。

 

 

どんどん猫が繁殖して増えていくのをみれば、

 

この先この地域はどうなってしまうんだろう・・・と不安に思う人もいる。

 

 

ご飯をばらまいて食べ散らかされているのを

 

不衛生だとか

 

他の猫や野生動物が集まってくると思う人もいる。

 

 

 

一人で生きているわけではないので、

 

こういった周りの人への配慮も必要。

 

 

 

だから、

 

『ご飯をあげる』という行為だけを認めてほしい

 

という自分の意見だけを主張するのは、

 

少し違うんだと思うのです。

 

 

 

周りの人に、

 

『ご飯をあげる』という行為を認めてほしいのであれば、

 

周りの人へ配慮を

 

周りの人と共存できる方法を

 

取るべきだと思うのです。

 

 

 

 

例えば

 

『これ以上増えないように、避妊去勢手術をして管理しています』

 

『ご飯をあげるときは、所定の位置であげて、食べ残った分も片付けて管理します』

 

という行動が必要だと思うのです。

 

 

 

逆に、

 

『ご飯を野良猫に与えるな』

 

とだけ注意する人、行政もいますが、

 

それはそれで何の解決にもならないのです。

 

 

上記のような考えの人がいる限り、

 

その人の気持ちも配慮しなければ、

 

共存はできないから。

 

 

 

実際、

 

「ご飯を野良猫に与えるな」

 

ということだけに一生懸命になっている地域では、

 

餌やりさんが存在していても、

 

餌やりさんと協力して避妊去勢手術をしようと動こうとしても、

 

「ご飯を野良猫に与えてる」ことが発覚して怒鳴られるのを恐れ、

 

餌やりさんが名乗り出ることはなく、身を潜めているのです。

 

 

 

名乗り出てもらって、

 

一緒に協力してもらって避妊去勢手術をして

 

ご飯をあげることを認めてもらえるように

 

一歩を踏み出したくても、

 

名乗ったらここで生活できなくなってしまうという恐怖から隠れてしまって

 

負の連鎖が続いているところも多いのです。

 

 

 

 

お互いの言い分を聞いて、

 

お互いの言い分が保たれるところへ持っていく

 

その一歩が『避妊去勢手術』『野良猫の数の管理』なのです。

 

 

 

餌やりさんが周りの人のため、野良猫のために動いてくれる必要があると思っています。

 

 

 



次に、ボランティアさん問題。

 

 

これは、意外に周りの人には注目されていないことが多いのですが、

 

ボランティアさんの野良猫にまつわる問題もたくさん隠れています。

 

ボランティアさんが無限大に野良猫のために動けて、万事解決とはいかないのですよ。

 

 

 

餌やりさんに正しいやり方を提案したり、

 

餌やりさんが説得できない状態や見つからなかったりするときでも

 

野良猫のために自費で避妊去勢手術代を支払ったり、

 

病気の子を保護して治療したり、譲渡したり、

 

とにかく自分がお世話してた猫じゃないのに、「猫のために・・・」と積極的に動いてくれるのが

 

『ボランティア』さん。

 

 

 

餌やりさんが協力的であれば、まだ問題は少ないのですが、

 

非協力的な場合は、ボランティアさんがすべての費用を請け負っています。

 

 

 

「ボランティアなんだから当然」

 

と言われるかもしれませんが、

 

命と向き合う

 

命を受け入れる

 

って大変なこと。

 

 

費用も時間も労力も必要なわけです。

 

 

許容範囲を超えると、

 

ボランティアさんの活動も回らなくなります。

 

 

 

 

ボランティアさんだから

 

保護団体だから

 

ということで

 

「あそこに野良猫がいるんだけど」

 

「子猫が生まれていたからなんとかして」

 

という相談だけを持ちかける人がたくさんいます。

 

 

 

そんな話を全部受け入れていたら、

 

ボランティアさんはパンクしてしまうのです。

 

だって、全部自費でやりくりしてるのですから・・・

 

 

 

 

 

ボランティアさん側が、

 

「キャパオーバーで対応しきれない」

 

「手助けはできるけど、少し協力してもらえないですか?」

 

「方法をお伝えするから、動いてもらえないか?」

 

と言うと、

 

「ボランティアなんだから、保護団体なんだから、なんとかして」

 

とか

 

「冷たい!」

 

とか

 

「それならもう放置するからいい!殺処分しろってことだね」

 

と脅迫に近い言葉を吐き捨てたりされることもあるのです。

 

 

 

ボランティアさんの中には、

 

そういった相談を全部受け入れた結果、

 

助けたくて、病気を治してあげたくて手を出したはずが

 

治療や管理すらも手に負えなくなってしまったり、

 

保護して保護猫の数が少しずつ少しずつ増えていって多頭崩壊になってしまったり、

 

そんなケースもたくさんあります。

 

 

 

 

保護はボランティアに任せればいい

 

ボランティアの人がなんとかしてくれるだろう

 

という考えは間違っていて、

 

これも人と人が関わっているのだから

 

相談する側にも配慮が必要ですし

 

歩み寄る、サポートすることも必要だと思うのです。

 

 

 

 

自分が望んでいることが

 

自分の力だけで実現できないのであれば、

 

実現に向けて動いてくれる人に対して

 

やはりなんらかの形でサポートしなければ・・・

 

 

 

ボランティアさんが無限大の費用と時間と労力があるわけではないのです。

 

 

ボランティアをしている人、保護団体も、


多頭崩壊になってしまっているケースが多くあります。



何のために保護したのか


ここで保護されなかったほうが幸せだったのでは?


と感じることもあります。



自分が抱えた分を満足に保護できないのであれば、


保護しないほうがいいと思うのです。


ひどいことを言うなーと思うかもしれないけれど、


保護されてる環境で、


来た時よりも状態が悪くなってしまっているのを見ると残念になるし、


病気に対して学ぶこともなく、ただただともに過ごしてるだけの状態を見ると何のために…と悲しくなるし、


やっぱり各々の限界をきちんと把握して、


できる人ができる範囲でやるべきだと思うこともあります。


そして、病院側の問題。

 

 

わたしたち獣医師の気持ちも人それぞれで

 

野良猫のことに首を突っ込みたくないというケースも多くあります。

 

 

それは同じ手術内容、同じ治療内容であっても、

 

「野良猫だから」という理由で、

 

「費用が払えない」と言われるケースが多くあるから。

 

 

実際うちにも

 

「野良猫だからなんとかしてよ」

 

と言ってくる人もたくさんいますから。

 

 

餌やりさんやボランティアさんの言い分もわかりますが、

 

飼い猫飼い犬と野良猫を同じように対応している獣医師側からしたら、

 

「それはないよね」

 

と思うのは当然だとも私も思います。

 

 

 

 

それ以外でも

 

通常業務で大変で、野良猫の避妊去勢手術まで手が回らない

 

野良猫の性質を理解してなくて対応できない

 

というケースもあります。

 

 

 

病院によっては、

 

野良猫でいつ捕まるかわからないのに予約をするようにとなっていたり、

 

1日に手術できる頭数が1頭となっていたり、

 

捕獲器でなければ捕まらないような猫に対しても、キャリーに入れてくるようにいったり

 

ということも・・・

 

 

せっかく予約をとりつけても、その日に猫が捕まらず、再度予約の取り直しからはじまったり、

 

1日1頭という制限と予約必須という条件から、避妊去勢手術が全然実現できずに、

 

また新たな命が誕生してしまったり・・・

 

 

 

実際、上記のような環境下でTNR活動をしていた地域では、

 

最初10頭以下の状態でTNR活動に取り組みだして、

 

少しずつ手術に連れていっていたものの、

 

全然追いつかず、

 

避妊去勢手術を積極的にしようと活動しているにもかかわらず

 

数年間で、結局100頭以上までになってしまっていました。

 

 

うちの病院との出会いで、

 

半年近くで目処がつき、

 

今はその地域から規模を拡張し、

 

TNR活動を続けてくださっています。

 

 

 

 

私のスタンスは

 

捕まったときにその都度対応する

 

なるべく野良猫のストレス、負担を減らしたい

 

捕獲・運搬の方の苦労を減らしたい

 

なので、

 

捕獲できたらまず来院してもらう

 

捕獲器のままで来てもらう

 

なのです。

 

 

 

実際、捕獲器で来てもらったほうが麻酔をかける側である私もありがたかったりします。

 

 

 

餌やりさんの『やる!』という意気込みを大事にしたいし、

 

貴重な時間を使って捕獲・運搬を頑張ってくれるボランティアさんの行動を大事にしたいし、

 

 

その瞬間瞬間を大事にして、

 

避妊去勢手術をこなしていくことが大事だと思っています。

 

 

 

 

餌やりさんが自主的に避妊去勢手術をしよう!と思うのならありがたいことだし、

 

ボランティアさんが頑張って説得したり、捕獲・運搬してくれることもありがたいことだし、

 

そこの連携があって、初めて病院に野良猫が来てくれるのだから、

 

その瞬間を大事にしたいのです。

 

 

避妊去勢手術だけは、わたしたち獣医師しかできないこと。

 

 

 

 

 

野良猫を愛護という面から見るとしたら、

 

わたしたち獣医師に、野良猫にしてあげる愛護という形は、

 

『避妊去勢手術』

 

そして、その時できる『処置』

 

だと思うのです。

 

 

このすべてが、

 

私に野良猫を繋いでくれた人たちへの配慮だと思っています。

 

 

野良猫への避妊去勢手術のやり方も、病院によってまちまちですが、

 

うちは極力負担をかけないように心がけています。

 

 

傷口のサイズも

 

麻酔の負担も

 

手術時間も

 

最小限に抑えています。

 

 

 

 

そして・・・

 

 

人は必ず人と関わりながら生きています。

 

一人では何もできません。

 

TNR活動も一緒で、

 

誰かが欠けただけで、TNR活動はうまくいかなくなります。

 

 

 

お互いを尊重し、

 

連携をとりながら、

 

時に配慮し、

 

同じ目標に向かって行動する。

 

 

 

TNR活動を細く長く続けるためには、

 

それが一番大事だと思っています。

 

 

 

さて、愛護週間がある今月も、

 

鹿児島で野良猫や多頭崩壊の猫たちのために

 

ボランティアで避妊去勢手術実施します。

 

 

9月23日(月・祝)に開催です。

 

 

 

今回のTNR費用についてですが、

 

通常の金額と異なるのはこの日だけ限定で、

 

私たちスタッフから野良猫に対してのボランティア活動のため、抑えてあります。

 

決してこの金額でできるというわけではなく、

 

動物病院では現実的な料金ではないこと、

 

ボランティア活動の一環だということをご了承ください。

 

 

日 時  9月23日(月・祝)9:00~18:00(お迎え時間終了)

場 所  ル・オーナペットクリニック 
               鹿児島市玉里団地3丁目19−6(タイヨー玉里団地店そば・モンキープラザ商店街目の前)
               電話099-228-2102

予約制となりますので、必ず前日までにご連絡ください。
(このお電話の際、連絡先と予定しているおおよその頭数を確認します)

条 件
 mf*野良猫もしくは多頭崩壊のお家の猫であること(飼い猫は含まれません)

mf*避妊去勢手術と耳カットをし、元いたところに離すこと
 家で飼う予定、もしくは、里親に出す予定の子は含みません。
(守られない場合はお断りさせていただきます)
    
mf*基本的に日帰り 
 午前中連れてきてもらい、夕方迎え
(ただし遠方から来られている方に関しては、なるべく待ち時間が少なく済むように努力させていただきます)   

mf*生後2ヶ月以上(体重は問いません)
(野良猫の場合、生後どのくらいかわからないと思いますので、とりあえず連れてきてください)     
    
mf*妊娠している場合は、お母さん猫には点滴などの処置を無償で行います
ただし、供養代(1000円)をいただき、こちらで火葬させていただきます。
    
mf*ノミ予防、抗生剤投与は必ずこちらで実施させていただきます。(手術費用に含まれています)

    
費 用     避妊去勢手術ともに5000円(ノミ予防・抗生剤投与含む)
(必ず耳カットもする)

 

 

 

動物病院によっては、手術するにあたって生後6ヶ月以上とか、体重が1.2キロ以上とか規定がありますが、

 

うちの病院に関しては、

 

体調が問題なければ、生後2ヶ月以上であれば手術を行っています。

 

体重も1キロ未満であっても、体調に問題がなければ手術を行っています。

 

 

どのケースであっても、

 

問題を起こしたり、麻酔中、麻酔後に体調を崩したり、亡くなってしまったりしたことはありません。

 

 

 

手のひらサイズの子たちでも問題ありません。

大人と比較すると、小さいのがよくわかりますよね
 
 
 

 

 

「この子は小さいからどうだろうか?」

 

と悩まれたら、とりあえず連れてきてください。

 

診せていただいて、判断したいと思います。

 

 

 

 

 

避妊手術に関して、傷口は1センチ未満です。

 

 

 

 

 

 


もしも発情を迎え子宮が腫れていた場合、妊娠時は、傷口が大きくなりますが、

 

基本的に1センチ未満ですみます。

 

 

外に離されるのですから、傷口は最小限で、負担が少ないものであるべきだと思っています。

 

 

たまに耳カットしてなくて、紛れ込んできた子の中に、こんな大きな傷の子もいます。

 

 

 

 

術式は、子宮と卵巣両方を切除する『子宮・卵巣全摘出術』を採用しています。

 

 

傷が小さいから、全摘出してないのだろ?と言われることがありますが、
 
ちゃんと子宮も卵巣も摘出しています。


 

 

傷に関しては、『吸収糸』と言われる溶ける糸を使用しており、

 

外側に糸が出ないように工夫し、縫合してあります。

 

 

傷はこんな感じ

 

 

 

 

負担が少ないもの、安全なものであるべきだと思っています。

 

 

 

耳カットに関しては、綺麗なV字になるようにカットするように心がけています。