『猫エイズウイルス』や『猫白血病ウイルス』検査法と判断基準 | 【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

鹿児島で動物病院を経営しつつ、飼い主さんがペットに1つでも多くできることを提案できる場として、ペット関連のイベントや講演をしています。
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こんばんはハート

昨日の『猫エイズ』のお話にたくさんの方が興味をもっていただき、嬉しいです。

『猫エイズ』への偏見から敬遠される猫ちゃんが多いので、

少しでも正しい知識が浸透していけばいいなと思っておりますおんぷ

アラフォー獣医師 浜崎菜央です。

(昨日のブログはこちらこれ→猫エイズだったら終わりなのか?
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本日は、

『猫エイズ』や『猫白血病』の検査の方法、それから、判断の仕方

についてお伝えしたいと思っています。


まずは、検査のお話をする前に、どうしても関わってくる単語の説明を・・・
(聞きなれない言葉だと頭が拒否反応を示すと思うので、なるべくわかりやすくお伝えします・・・なるべく・・・)



『抗体』とか『抗原』という単語、

そして、この意味をみなさんはご存知でしょうか?




『抗原』とは、基本的に『異物』のことを指します。


アレルギーの元(例えば花粉)は、『抗原』と呼ばれます。

それから、病気を引き起こす細菌やウイルスも、『抗原』に含まれます。


体に本来存在しないもの、いわゆる、敵が『抗原』なのです。



ただし、例外があって、自分の体なのに、間違って『異物』と認識することもあります。

これは、『自己免疫疾患』と呼ばれるものです。



これについては、またいつか書きたいと思います
アゲアゲ



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(おすましれんげちゃん笑



本題に戻って・・・

じゃあ、『抗体』はなんでしょうか?



『抗体』とは、『抗原』に対してやっつけるアイテムとして体が作ったもの

『抗体』は、私たちの身を守る味方なのであります。


敵を体が認識して、その敵に合わせた形のものを作り上げていくんです。

『抗体』は、それぞれ『抗原』の種類に合わせて作られるってわけ。


このペアの関係であるということがポイントです。




さて、これを踏まえて・・・


『猫エイズ』や『猫白血病』のウイルス検査についてですが、


一般的に動物病院で簡易的に検査されているのは、

この『抗原』と『抗体』のペアの仕組みを利用した方法なのです。



キットには、ペアとなる片方がつけてあって、

採血をして・・・

検査キットにセットして・・・

10分ほど放置して反応させ・・・


もしも、ペアとなる相棒が血液中に含まれていた場合は、

印が出てくる仕組みになっているんです。


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(うちで使っているキットはこんなやつ~)



というわけで、印が出てきた場合は、『陽性』の可能性が出てくるわけなんです。



ただし、印が出てきた=『陽性』とも限らないことがあります。



例えば…


お母さん猫が『猫エイズ』に感染していた場合、

お母さんの血液中には、『猫エイズ』の抗体ができています。


このお母さんが子供を産むと、

子供の血液中には、お母さんからもらった抗体が受け継がれます。
これを『移行抗体』と呼びます。)



つまり、子供は『猫エイズ』感染していないのに、

検査キットを通して『陽性』となってしまう
んです。



また、猫エイズワクチンを打った場合も同じことが言えます。

猫エイズワクチンを打つと、『抗原』が入ってくるので、『抗体』が作られます。

実際は、『猫エイズ』に感染しているわけでないのですが、

キット上では、『陽性』という判定が起きてしまう
のです。




これらの場合は、実際は『陰性』の可能性が高いので、

少し間をあけて、再検査をしてみることが大事
です。



早急に『陽性』かどうか知りたい
ビックリマーク

という場合は、


『PCR法』といって、

実際にウイルスがいるかどうかをチェックする方法
があります。



検査キットに比べてかなり性能はいいですが、

採血量がかなり多く必要ということと

費用面でもかかること

結果が出るのに日数がかかること

などのデメリットもあります。



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それから・・・



うちの病院で使用している検査キットでは、

『猫白血病』に関しては、『抗原』のチェックを行う仕組み
になっています。


つまり、血液中に『猫白血病』ウイルスがあれば、『陽性』と出てくるということ。



ただ、『猫白血病』に感染していても、

免疫によってウイルスをやっつけて勝つことがある
ので、


数ヶ月後再検査したら、『陰性』となることもあります。



『猫エイズ』についても『猫白血病』についても

『陽性』と診断されたから絶対とも限りません。

『陽性』が次回は『陰性』となることもあります。


また逆に、『陰性』だったのが、

時間が経って再検査すると、『陽性』になることもあります。



いろんなパターンがあるので、

もう一度再検査してみて、結果が同じかどうかチェックしてみる

ということも必要だと思います。



そして、

検査キットは、いろんなメーカーから出ています。

同じような検査キットでも、メーカーによって、感度が違ってきます。


他のメーカーのものでチェックしたら、違う結果が出るということもあります。



本当かな?と思うことがあったり、

信用できるものかどうかチェックしたいのであれば、

再検査をしたり、異なるキットで検査してもらうことも必要だと思いますし、

少し費用はかかりますが、『PCR法』でチェックするということもありだと思います。



『陽性』かどうかをこだわるとしたら、多頭飼いのおうちで飼うときかな

と思います。


他の子たちが『陰性』の中に、『陽性』の子が入るとなると、

これまた予防など対策が必要になるからです。


一度『陽性』だったから、うちでは引き取れない

とか

一度『陰性』だったから、大丈夫だ

とか

ではなくて、

きちんとした結果を元に判断してほしいなと思います。



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(一緒に勉強しているれんげさん笑


今日はちょっと専門用語が多くって、分かりにくかったかもしれませんが、

一度の検査結果に左右されるのではなく、

もし余裕があれば、再検査という形をとった上で、結論を出してほしい

ということをお伝えしたかったのであります。



『猫エイズ』や『猫白血病』で運命が変わることもあります。

正しい知識で、正しい結果を元に、判断していただきたいなと思います。



そのためにも、

キャットケアレッスンで飼い主さんが学ぶということが大事だと思っていますハート